心の居場所探し


「hmm……こんなもんだろ」

ダンテは扉をコンコンと叩いた
何度も自分が扉を蹴破るのでその度にナナに怒られ、自分で修理する事になってしまう
加減はしているつもりなのだがついつい力が入ってしまう
扉が直ったのでナナの元へ行こうとキッチンに向かった

「ママーまだぁ?」
「お皿ならべようか?」

ナナの周りをウロウロとする双子の女の子たち
髪の色は夫に似て銀色。しかし笑う表情や仕草などは自分に似ているらしい
どちらにしろ自分に懐いていて可愛くて仕方ない

「もう少し煮込めばできるわよ」
「やったー!!」
「…そういえばパパはどうしたのかしら?」
「ここにいるぜ」

声のした方を向けばダンテが壁にもたれて立っている
子供たちは目を輝かせてダンテの元に行く

「パパ!」
「だっこぉー」
「扉は直ったのかしら?」
「あぁ。完璧にな」

子供たちの頭を撫でながらダンテはナナにウィンクする
ナナはやれやれ、といった様子で再び鍋に視線を送る
子供たちは直った扉を見に行こうとキッチンから出て行く
残されたダンテはすぐに後ろからナナを抱きしめた

「怒ってるのか?」
「いいえ…もう毎度の事だもの、それにちゃんと直してくれるしね」

微笑んで首だけをダンテに向ける
ダンテはその唇に軽く口付ける
ナナはまた鍋の中身をかき混ぜる
その光景を見ながらダンテは遠い昔の事を思い出す

「幸せだな…こういうの」
「ん?」
「…毎日温かい料理を作ってくれて、子供たちもいて……ナナがいて」

自分が幼い頃
今のナナみたいに料理をしていた母を父はよく後ろから抱きしめて見守っていた
それはとても幸せそうで一緒に影から見ていた双子の兄と自然に笑顔になっていた
だけど悪魔によって母は殺され兄とも引き離される
死なない悪魔の血を引いた自分を見て驚く人間たちは自分に近寄ってこなかった
一人でひっそり死ぬのだと
幼い頃に見た家族は自分には持てないと思っていた

「……今は持ててるわ。温かい家庭を」
「……そうだな」
「それに…貴方はすごく優しい人よ。人間とか悪魔とか関係ないわ……思いやる心があれば家庭は持てるのよ」

ナナの優しい言葉に心が満たされる
ダンテは彼女の肩に顔を埋めた

「ありがとう…」

ふと、気配を感じて横を見れば
隙間から双子の子供たちが覗いている
幼い頃自分がしたときと同じようにだ
ダンテは思わず微笑んで子供たちに手招きをした





家庭を持てて幸せだと感じているダンテが書きたかったんです
ontology
110125


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