ウィークボソンの憂鬱


「よっと……」

窓から侵入した仗助は降りて辺りを伺う
誰もいないことがわかった仗助は自分が侵入した窓に向かって声をかける

「誰もいないッスよー入ってこいよ」
「ま、待って仗助くん…」

なんとか窓をよじ登って仗助の彼女――なまえが顔をのぞかせた
そして降りる彼女を助けて地面に降ろしてやる
なまえは周りをキョロキョロと見渡す

「ねぇ…やっぱり出ていったほうがいいんじゃないかな?」
「大丈夫ッスよ〜」
「でも…中等部の準備室に忍び込むなんて…」

そう仗助たちがやってきたのは中等部の体育準備室
以前重ちーがここの倉庫には教師たちが飲み物を隠し持っているとの事で仗助がそこで一緒にお昼を食べようということになったのだ

「仗助くん…お金ないなら私がおごってあげるから…」
「そんな事させられる訳ねぇだろーがよォ…それに…」

仗助がズイッ、となまえに迫った

「いつも二人きりで食べらんねぇからたまには二人きりで食べたいんだって事……なまえはわかってくれねぇのか?」
「あ……」

そう、いつも億泰と康一それに由花子も混じって食べることが多い
もちろんみんなで食べるのは楽しくて好きなのだがたまには二人きりで恋人らしく食べたいと仗助は思っていた
だからこうして二人だけになれる場所を探したのだ

「うん…そうだね」
「よし!飲み物は"おまけ"と思っていただこうぜ!」
「もう…今日だけだからね」

仗助が奥へと向かう
なまえは朝早くに起きて仗助と自分の弁当を準備していた
仗助が奥からお茶を持ってくる

「お、今日も旨そうだなーなまえの弁当」
「今日はいちごも入ってるよ……はい」

なまえが指でいちごを摘んで仗助に食べさせようとしたときだった
扉が開く音が聞こえた

「やべぇなまえ…隠れるぞ!」
「え!?」

急いで弁当箱を持って仗助たちはある場所に隠れた

(隠れたのはいいが…ここはまずかったかもなァ)

二人が隠れたのは跳び箱の中だった
しかも狭いためなまえは仗助に抱きつく形になり密着していた

(俺の足の間になまえがいる…しかも胸が当たって…やべぇ…!)

なまえは教師の気配をずっと観察している
そしてようやく出ていったらしく二人はホッと息をついた

「出ていったみたい…」
「ハァーよかったッ…ス…」

パチッ
至近距離で二人の目があった
二人は顔を赤くさせてバッと顔をそらした
うるさい心臓を落ち着かせようとするなまえはとりあえずここから出ようと跳び箱を開けようとした、が腕を仗助に引かれる

「最近…キスしてないッスね…」
「あ…う、うん……」
「なまえ…」
「ん…」

名前を呼ばれてなまえは目を閉じた
仗助の唇が近づく……

「おーお前らここにいたのかァ〜探したぜ」
「!!?」

跳び箱が開けられて二人はすぐに離れた
開けた人物は億泰だった

「探してたんだぜお前らをよォ、一緒に飯食おうぜ」
「う、うん…」

億泰に邪魔されて唇を噛む仗助をなまえは抑える
そして先に歩き出す億泰を見てから仗助はすぐになまえにキスをした


ウィークボソンの憂鬱

体育準備室での吉良が入ってたあの跳び箱の中…なんか萌えたんです。いや一緒に入ったら素敵…ヒロインは長編でも書いたキャラのイメージです
ontology
110711


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