かちゃかちゃと動く君の動作が可愛らしい


ピンポーン

玄関のチャイムの音が承太郎の目を覚まさせる
昨夜は大学に遅くまで残って研究をしていた為、帰るのは明け方になった
そしてようやくさっきシャワーを浴び、気持ちよく眠っていた所で訪問客が現れた

「……まだ8時じゃねぇか」

承太郎が眠りについたのは5時
3時間しか寝てねぇじゃねぇか、と眉間に皺を寄せて時計を見ながら舌打ちをした
訪問客については無視をしよう、と再び掛け布団を被って寝返りを打つ

ピンポーン

訪問客はそんな承太郎の事を知らないのも無理はない
再び玄関のインターホンを鳴らす。承太郎は目を閉じたまま無視をする

ピンポーンピンポーンピンポーン

「………」

いくら無視しても訪問客は何度もチャイムを鳴らす
承太郎はイライラしながら仕方なく起き上がり玄関に向かう
扉を開けて一つ怒鳴り込んでやろうか、と扉を開けた

「Hello承太郎、元気?」
「………」

片手を挙げてニコリと挨拶をする人物に承太郎はため息をついた
そしてそのまま扉を閉めようとするが、その人物が必死に止める

「ちょ、ちょっと無視しないでよ!」
「……何しに来たんだなまえ」
「決まってるでしょ?遊びに来たの」

またもニコリと笑って答えるなまえに承太郎は頭が痛くなる
自分が今したいことはとりあえず眠りたいことだ、悪いが帰ってもらおうとなまえの方を見るが彼女がいない
どこに行ったのかと探せば、いつの間にか自分の部屋に入っていた
承太郎は扉を閉めて部屋へと入る

「ちょっとー!なんなのよこの部屋!!」

なまえが少し頬を膨らまして承太郎を見る
承太郎は何事かと部屋の中を見渡してああ、そういうことかと気づく
彼女が何で怒っているかというと自分の部屋の汚さだろう。ソファーの上には脱いだ服が散らかっており、炊事場には洗っていない食器がたくさん溜まっている
別に普段からこうだらしないということではない、研究が忙しくてなかなか家の事ができないでいるのだ

「もぉー仕方ないなぁ」

なまえが渋々そう言いながら近くにあったエプロンを着ける
承太郎は彼女の行動に思わず口を出す

「おい何してんだ…」
「決まってるでしょ?だらしない承太郎の為に私が今から掃除してあげるの」
「そんな事はいいから帰れ、俺は寝たいんだ……」

承太郎の言葉を聞いているのかいないのか、なまえは掃除を始める
こりゃ帰らねぇな、と承太郎はまたもため息をついた
仕方なく彼はソファーに座りテーブルにあった煙草の箱を取り、一本吸い始める

昔から変わらねぇな……

なまえの背中を見ながら承太郎は思った
小さい頃から一緒にいて、成長してきた幼なじみ
彼の世話をするのが何かと好きな女の子だった。承太郎がアメリカに行くと言った時も、彼女は後を追いかけてきた

「承太郎!脱いだ服ぐらい洗濯カゴに入れてよね!」
「………」

うるせぇな、と承太郎は煙を吐き出す
なまえが頬を膨らまして彼を睨んでいる、承太郎はその表情を見て苦笑いすると煙草の火を灰皿に押し付ける
そして彼女の長い髪の毛を軽く掴んで引っ張った
驚いて承太郎を見れば、もう数センチで彼の唇に触れれそうな距離

「…さっきからうるせぇな、俺の女房かお前は」

その言葉を聞いたなまえは突然顔を俯かせた
承太郎はどうしたのか、と彼女の顔を少し覗きこんだ
今の言葉に照れたのか嬉しかったのかわからないが、頬を真っ赤にさせていた

――あぁ…そうか

『承太郎!ちゃんとしゅくだいした!?』
『承太郎!けんかしちゃだめでしょ!』

幼い頃からいつも言われてきたこの言葉のほかに、もう一つ口うるさく言っていた言葉があった

『わたしぜったい承太郎のおよめさんになるんだからね!』


「何照れてんだお前は」

頬を真っ赤にさせている彼女に承太郎はからかうように言った

「べ、べつに照れてないわよ!」
「吸殻捨ててくれよ、女房」
「! じ、自分で捨てなさい!」

さらに顔を赤くさせたなまえに承太郎は喉の奥でククッと笑う
いつの間にか眠気が覚めた承太郎は久しぶりに家の事をしよう、と立ち上がった





090322
君に愛しいkissを


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