小さな敵にサイダーを


長かった任務も終わりクリスは一息ついていた
そして彼のパスケースの中に締まってある女性の写真を見て微笑んだ

「あー!コレ隊長の奥さんですか!?」

横から覗き込まれてクリスはそちらを見た
のぞき込んだ人物は先程まで自分と任務を共にしていた部下―ピアーズだ
クリスに見られて彼が怒っていると勘違いしたピアーズは「すみません」と謝る
怒っていないとクリスは微笑んだ

「あぁ妻のナナだよ」
「へぇ〜綺麗な人ですね」

ピアーズにナナの事を褒められてクリスは自分のことのように嬉しく思った
そして立ち上がって帰る準備をしようとしていたのだがピアーズに声をかけられた

「隊長!せっかくですしこの後飲みに行きませんか?」

ピアーズが酒を飲む仕草をする
そういえばこの任務が無事に終われば飲みに行く約束をしていた
だがようやくナナとも会えるのだ
クリスは悩んだ結果口を開いた

「…よかったら俺の家に来るか?」
「え……いいんですか!?行きます行きます!!」




******

クリスの家に付き彼が家の中へ入ればそれに続くピアーズ
キョロキョロと落ち着かない様子で辺りを見回す

「ナナー…帰ったぞ」
「……クリス?」

奥からナナが出てきた
クリスは優しい微笑みをピアーズは目を大きく見開いていた
ナナは帰ってきたクリスに微笑んで彼の胸へと飛び込みそれを優しく抱きとめるクリス
そんな二人の様子を見ていたピアーズだが彼はナナシに目がいっていた
写真で見るよりも随分と綺麗だったからだ。その時ナナがピアーズに気がついた

「あら…お客さん?」
「あぁ…紹介するよ。俺の部下のピアーズだ」
「は、初めまして!ピアーズ・ニヴァンスです!」
「初めまして、妻のナナです」

優しく微笑んでナナはピアーズと握手する
思わず頬が赤くなって動揺している事をクリスは見逃さなかった

「ナナ…急で悪いんだが、ピアーズの分の食事も頼めるか?」
「えぇ大丈夫よ」

ナナはクリスに微笑むとエプロンを付けてキッチンへと向かった



*****

「うまーい!!最高に旨いですね!」

ピアーズが出された食事をガツガツと食べながら褒める
その様子にナナも微笑みながらありがとう、と言う

「いいなー隊長はいつもこんな旨い飯が食えて羨ましいです!」
「お前も早く相手を見つけるんだな」

クリスはそう言ってスープに口をつける
ピアーズはまだ若いしモテそうなイメージなのに、とナナは彼を見て思った
やはりBSAAにいる限りあまり出会いなどないのだろうか?


食事が終わり片付けをしているとピアーズも手伝ってくれた
食器をナナに手渡してくれた

「ありがとう…ゆっくりしてくれていいのよ?」
「いえ…隊長の家っていうのもあってか…なんかこう…」
「上司の家じゃ落ち着かないわよね」

くすくす、とナナが笑う
ピアーズも頭を掻いて、苦笑いしていた

「……ねぇピアーズ」
「はい?」
「……クリスは無茶をするところがあるからしっかり見ておいてね」

ナナの言葉にピアーズは目を見開いた
家にいて何もできないため毎日クリスの無事を祈るばかりだ
その点ピアーズは常にクリスの傍にいる
ナナからの頼みにピアーズは嬉しくて微笑んだ

「わかりました…隊長は俺が守ります」
「ナナ、風呂上がったぞ」

クリスが頭にタオルを乗せて髪の毛を拭きながら出てきた
ナナは返事をするとそのまま部屋を出ていく
クリスと二人だけになって何故か急に空気が重くなった
何か話をするべきだろうかとピアーズは考えた

「いやーそれにしても本当にいい奥さんですね!料理もうまいしおまけに美人だし…隊長がめちゃくちゃ羨ましいですよ」
「そうか……ピアーズ」
「はい?」
「ナナは駄目だからな」
「え?」

仕事の時と同じ鋭い瞳でクリスはピアーズを見た
その瞳にピアーズは思わず背中がゾクリとなってしまったのを感じた
自分がナナに好意を持ったことをクリスにはわかってしまっていた
罰が悪そうにピアーズは頭を掻く

「さすがに隊長の奥さんには手をだしませんよ」
「まだまだお前も甘いな…バレバレだぞ、ナナに好意をもったこと」
「…隊長には俺は一生敵わないですね」

ピアーズはそう言って笑った

だが隊長でも知らない俺とナナさんの秘密がある
貴方を守ること。二人だけの約束
必ず守ろうと思う
俺は隊長もそしてナナさんも好きだから





カプ本に出てきていたキャラのピアーズです。クリスの事めちゃめちゃ尊敬してたらいいなー、んで部下が上司の家に行く→部下が奥さんに好意を持つっていう話を思いついて書きました!しかしピアーズ夢かクリス夢かわかりませんねコレ…でも書いていて楽しいお話でした!
約30の嘘
110928


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