ひとりぼっちはもういやだ


ダンテがいない時に掃除をした
依頼が入ってから3日も経っていて未だに帰ってきていない
その間に私は掃除をする事にした。正直ダンテがいると掃除ができない場所もあったりするわけで……
ちなみに掃除があまりできない場所っていうのはダンテがいつも座っている机の上とかあの辺
掃除をしようとすると「このままでいい」といつも断られる
だけど私からしてはよくない訳で……このままにはしておけない

「ダンテがいない今がチャンス!」

ニヤリと笑ってホウキと雑巾を持って机に向かう
やはり掃除をしていないせいで埃などがあちこちに溜まっている
目が痛くなりそうだし、咳も出てきそうだった
ピザの箱が残っている中身はないけれど随分前の物だろう、これは捨てても文句は言わないだろう
次に雑誌などもまとめるいかがわしい内容の本ばかりだ。しかもそこにいる女性は綺麗な体をしている……私よりも
ちょっとだけだけど嫉妬してしまう

「ん?」

雑誌をどけると下から破れたグローブが出てきた
随分と汚れてしまっている、私はそれを持ち上げて苦笑した
もう使えないハズなのに何故いつまでもここに置いているのだろう…これも捨ててしまおうとしたときだった
破れたグローブを持っていた手首が誰かに掴まれた、驚いて見ればそこにはダンテがいた
いつの間に帰ってきていたのだろう、ダンテはすぐに私からグローブを取り上げた

「…ぁ、ダンテおかえりなさい」
「何してるんだナナ」
「え…あ、」
「ここの掃除はしなくていいって言ったよな?」

ダンテが少し怒ったような表情で私を睨んだ
その瞳に驚いて私は何も言えなくなった、怖くてダンテが見れなくなった
「ごめんなさい…」と小さく呟いたこんな風に怒ったダンテを見たのは初めてでどうしたらいいのかわからなくなった
顔を俯かせているとダンテが私を優しく抱きしめた

「悪い……怖がらせちまったな」
「……ふ、ぅっ」

いつものダンテに戻って私は思わず涙を流した
ダンテは苦笑しながら優しく私の頭を撫でた
そして私を抱き上げてダンテはいつもの自分の椅子に、私は机の上に降ろされた
私の膝の上に先程のグローブが乗せられる私は思わずダンテを見た

「……これな、俺が昔着けてたグローブなんだ。切れてるのは俺の兄貴が切ったからなんだ…」
「お兄さん……?」

初めて聞いたダンテの家族に私は驚く
ダンテは頷いてからまた語りだした

「……色々あってな、兄貴を助けようと手を伸ばしたんだがヤツはそれを断った。俺の手を切って魔界に堕ちたんだ」

ダンテはそこまで語ると目を閉じていた
その時の事を思い出しているのかな…?お兄さんとの最期の日を……
再び目を開けたダンテが私の頬を撫でてきた

「本当はお前には話すつもりはなかったんだ…」
「どうして…?」
「……ナナも同じように消えてしまうのは嫌だから」

最後の方は弱弱しく吐かれた言葉だった
ダンテはずーっと一人で過ごす時間が多かったんだ、失う事に臆病になっている
普段は全然そんな態度を見せないのに初めて知ったダンテの悲しみに私は彼の膝の上に移ってぎゅうと抱きしめた

「私はずっとずーーっとダンテの側にいるよ、どこにも行かない!おばあさんになってもずっとずっとずっと側にいるから……だからダンテも私の側にいてね?」

私の言葉にダンテはきょとん、としていたがやがて私の額に自分の額をコツリと合わせてきた
ダンテは優しく微笑んでから私に優しくキスをしてきた

「あぁ俺もお前の側にずっといる……ありがとなナナ」

ダンテはそう言うと私の肩に顔を埋めた
どうしたの?と聞くが何も答えないでいる、そして気づいた彼の肩がかすかに震えていることに
私はもう何も言葉を発さずそのまま彼の頭を優しく撫で続けた





あるMADを見てから1ダンテが失う事に臆病になってるんじゃないか、と思って書いてみた作品です
いや一番臆病になってるのは3ンテで大分傷は癒えたけどいざこういう展開がきてみると臆病になるのが初代。でもまぁどのダンテも誰かを失う事には臆病だと思うんですけど
3ダンテにしようか4ダンテにしようか迷ったんですけどたまには初代もいいよねということでお相手は初代で書きました
君に愛しいkissを→レイラの初恋
090905


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