何かが頬を伝っていく


事務所に一人でいたところを狙い、無理矢理ここに連れて来た。そして泣くほどナナを酷く抱いてやった

「うっ…ひっ、う」

先程から俺に背中を向けて泣いている
その背中には赤い跡がたくさんある、それはもちろん俺がつけてやったから体中のあちこちにつけてやった


アレを見たら恐らくあの男は怒り狂い俺を殺そうとするだろう

「ダンテ…っ、ダンテ…」

俺もダンテだ


けど彼女が呼んでいるのは俺ではなくもう一人の愛しい男

何故だ?
俺もダンテなのに、何が違う


どうしようもない怒りがこみ上げてきて、彼女の上に跨った

「名前を言える位まで回復したんだ、続きをするか」
「! やだっ…絶対やだ!ダンテ、ダンテっ!!」
「ここにいるだろ?」
「アンタじゃない…偽者っ!!」

偽者


その言葉に俺の頭の中の何かが切れた
ナナの頬を思いっきり叩いてやった。彼女は脳まで衝撃が来たのか呆然として怯えた目で俺を見る

あぁ…俺はよほど恐ろしい目をしてお前を見下ろしているんだろう

「今度はそんな口が聞けないぐらい抱いてやるよ」
「……最低っ!」

泣いた目で俺を睨むナナ

そうだ

その目で俺を憎め、恨め

そうする事でお前の中に俺は存在するのだから
もっとお前の中に俺を刻み付けろ

「あの男よりも、お前の中を俺でいっぱいにしてやる」

黒い男はそう呟くとまた彼女を抱き始める

彼女の額に落ちたのは彼の汗か涙かはわからない



(お前が愛しくて仕方ないんだ)


確かに恋だった
080807


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