消えていく温もりに泣きたくなった


事務所の掃除をしていたナナが車の音に気がついて外へと出て行く
モリソンに送られてきたのかダンテは血だらけで帰ってきていた

「ダンテ!?どうしたの?」
「ちょっと厄介な悪魔を相手にしたもんでな…心配ねぇ、もうほとんど塞がってる」
「…とにかく入ってシャワー浴びて、モリソン送ってくれてありがとう」
「このぐらいお安い御用さ」

ダンテの大きな背中を押して事務所の中へ入れるとナナはモリソンに礼を言った
中でコーヒーでもどうか、と彼に聞いたが用事があるらしく彼はそのまま去ってしまった
事務所の中に入り地面に落ちているコートを拾いさっそく洗濯をしなければ、とナナは脱衣所へ向かった


* * *

「…じゃあパティちゃんはお母さんと出会えたんだね」

シャワーから出てきたダンテに怪我の事情を聞いたナナは彼の前にストロベリーサンデーを置いた
目の前に置かれたサンデーにダンテは目を細めてスプーンを手に取り一口口に含むと苺の甘い味が口の中に広がった

「寂しくなるねダンテ」
「…ふん、人のサンデーは勝手に食う、お前との時間を取られるわで散々だった。寂しくなんかねぇよ」
「ふふっ、そうなの?パティちゃんと絡んでるとき楽しそうに見えたけど?」

楽しくねぇよ、とダンテはまたサンデーを口に運ぶ
それでも笑ってその場を去るナナに舌打ちをすると彼はそのままソファーに横になって目を閉じた

数時間後目を覚ましたダンテはゆっくりと身体を起こす
そして先程自分が口に含んでいたサンデーが溶けていることに気がついた

――おいパティ!また俺のサンデー勝手に食っただろ!
――昼寝するダンテが悪いんでしょ!私がせっかく作ったのに、溶けるぐらいなら私が食べるわ

いたずらをした子供のような笑みを見せて舌を出すパティの姿がダンテの脳内に蘇った
彼は大きくため息をついた
つい彼女がいると思うから油断して昼寝をしてしまったのだ
その時ナナがやってきてダンテの隣に座ると突然彼に抱きついてきた

「どうした?」
「ダンテ、買い物一緒について来てくれる?」
「買い物?いつもならもうとっくに済ませてんだ……」

この時ダンテはふと気がついた
そういえば彼女との買い物にはいつもパティが付き添っていた
だがパティはもういないのだ。彼女だってそれに気づいた、寂しい気持ちは同じだ
ダンテはナナの頭を撫でた

「…支度してくるから待ってろ」

自分の気持ちを察してくれたダンテにナナは泣きそうになりながら頷いた


その日の夜
ベッドに潜りながらダンテはずっと考えていた
最初は依頼で預かった女の子がまさか自分とナナの中で大きな存在になっていたとは

ベッドのスプリングが揺れる音が聞こえた
ナナがベッドに入ってきた、彼女は泣いている
一体どうしたのか、と尋ねれば

「パティちゃん……引っ越すんだって…」

とうとうアイツがこの街からいなくなる
ダンテは泣いているナナを抱きしめた


* * *

「元気でねパティちゃん」
「ナナもね!」

空港でパティの見送りに来たダンテとナナ
別れの挨拶を済ませてナナはパティを力強く抱きしめる
抱きしめられたパティは目を細めてうっすらと涙を浮かべた、それはきっとナナも同じだ

「パティ」
「ダンテ?」
「……依頼があったらいつでも呼べよ、お前なら特別にタダにしてやってもいいぜ」
「……うんっ!」

パティは嬉しそうに微笑んでダンテに抱きつくと彼女はそのまま母親と空港を後にした
彼女が乗っているであろう飛行機をダンテとナナは見つめる
見えなくなるまでずっと二人は見つめていた
依頼があれば、なんて言ったけれど本当なら彼女の周りにはもう悪魔が出ない事を祈る





アニメの最終回の後の話を構造。色々と間違ってたらすみません、パティちゃんがどっか行ってしまって寂しがるダンテとヒロイン。なんだかダンテ→パティに見えなくもない作品ですね…
レイラの初恋
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