夕焼けの帰り道、両手に残る温度


※Darling is the devil設定ヒロインです



冬の日の朝はシーツから出たくなくなる、そして温かくていつまでも寝ていたい気分になるのだが寝室の扉が開けられて娘のリリアと息子のロダンがベッドに乗ってきて母親のナナの身体を揺する

「ママー」
「ん…どうしたんです?」
「パパがいないの!どこにいったの?」
「え…隣に…あれ…?」

ナナの横でいつも寝ているはずのダンテの姿がなかった
子供達にキッチンにいるのでは、と聞いてもいないと答えられてしまった
側に置いていた上着を着て1階へと降りて行く、確かにダンテの姿が見当たらない
父親が大好きなリリアが声を上げた

「あたしパパさがしにいくっ」
「ぼくも」
「じゃあママも一緒に行きます」
「ママはだめっ!パパはママばっかりちゅーするからやだ」
「でも二人だけは駄目です、リリアわかってくださいね」

むぅと頬を膨らますリリアの頭を撫でてコートを渡してやる、ロダンにもコートを着せてボタンを締めてやり自分も洋服を着替えてコートを着ると二人の小さな手を握り締めて外へと出かけた
昨夜はやたらと冷えるな、と思っていたがまさか雪が積もっているとは思わなかった
手を繋いでいた子供達は先を歩きながら地面に落ちている雪に触れて投げ合っている
その姿はとても微笑ましくて思わず目を細めてしまう

「うぇえええっ」
「もーロダンはすぐになくんだから」
「リリア、謝って下さい」
「ふんだっ!……あ、パパ!」

リリアがそっぽを向いたときだった、遠くからこちらに向かって歩いてくるダンテの姿が見えた
いつもの赤いコートではなく茶色のコートを着ていた
リリアとロダンが駆け寄ればダンテも気づいたのかしゃがんで手を広げている、そこに二人の子供は飛び込んだ

「パパ!」
「おはよう、どこに行こうとしてたんだ?」
「パパさがしにきたの」
「パパ、どこにいってたの?これなに?」

泣いていたらしいロダンの顔にダンテはまた姉に泣かされたな、と苦笑する
そしてその息子が自分が持っている紙袋を指差した
ナナも駆け寄り子供達と一緒に中を覗き込んだ、ダンテが袋を開ければおいしい匂いが鼻をくすぐる

「ほらクロワッサンにハムサンド…カップケーキにクッキーもあるぞ」
「やったー!!」
「クッキーたべたい」
「しょうがねぇな…1枚だけだぞ」

リリアとロダンにそれぞれ1枚ずつ渡してやる、小さな手でそれを受け取りさっそく口に含んだ
そして早く家に帰って食べたいのか二人は先に事務所への道へと歩き出しダンテとナナを急かした
ダンテは空いている手でナナの手を握って歩き出した

「ダンテさん」
「んー?」
「そんなにたくさん食べれませんよ?」

彼が持っている大きな紙袋を見つめながらナナが言う
俺が全部食べるから大丈夫だ、とダンテは笑った

「ナナと住みだして…あいつらが生まれてから"家族の分"の買い物をするのが楽しくてな、つい買いすぎちまった…ずっと一人だったからな」
「ダンテさん…」
「そんな顔するなよ、今俺はすごく幸せだからな」

ふ、と笑ったダンテの腕にナナは抱きついた
悪魔に家族を殺されてからずっと一人だった…自分も同じだったからダンテの気持ちが痛いほどわかった
ナナもダンテと暮らして子供達に囲まれているこの生活がとても好きで幸せだった

「ずっと…私が側にいますよ、ダンテさん」
「…嫌だって言っても離してやるつもりはねぇよ」

彼女の唇にキスをする
それを子供達はしっかりと見ていた

「パパがママにちゅーした!」
「もーだからママにはきてほしくなかったのー!」





ダンテが家族の分の買い物するの楽しいって話が書きたかったのです
誰そ彼
121105
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