クリスから「今夜は帰れない」と連絡が来た
それも彼と付き合っている上では仕方のないことだし、寂しいとは言えない
それでもいいから彼の隣にいたいと望んだのは自分なのだから
3月14日。彼女は朝から買い物に出かけて掃除をして、そして一人で夕食を食べる
いつもと同じ日常だった
もうすぐ日付が変わろうとする10分前、そろそろ寝ようかと考えていたときに彼女の携帯に着信が入る。ディスプレイにはクリスの名前があった

「もしもし?」
『もしもし?まだ起きてたか』
「もう寝ようと思ってたところよ、どうしたの?」
『渡したい物があってな…ベッドの下の箱を開けてくれないか』

ベッドの下と言われて彼女は下を覗き込んだ
すると奥の方に綺麗にラッピングされた箱が見えたので手を伸ばして取り出し膝の上に乗せる

「これは…?」
『開けていいよ』
「うん……」

リボンを解いていく。そして蓋を開けてみるとそこにはネックレスが入っていた
思わず笑顔になって声を上げる
彼女の声を聞いてクリスも頬が緩んでいた

「どうしたの?これ…」
『バレンタインのお返しだ…今日直接渡せればよかったんだけどな…』
「嬉しい、ありがとう!」

自分らしくない演出をしたのだが喜んでくれたみたいでよかった、とクリスは心から思った

『明日には帰れそうなんだ、次の日休みをとったから…どこか出かけるか?』
「うん…待ってる」
『あぁ…じゃあな、おやすみ』
「おやすみなさい。クリス」

電話を切って彼女はネックレスをつけてそのまま眠りについた


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クリスはやっぱり忙しいのですが、ちゃんとお返しは忘れません


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