「俺からはコイツでさァ」
総悟から差し出された……首輪。
『ご返却します』
丁寧に断った。馬鹿ですか、この人。
「着けな」
『い、や。いやに決まってるでしょ』
なんだか、さっきまでの甘い自分が消えたみたい。
無理矢理持たされた首輪を呆れたように見たとき、キラリ、何かが光った。
『……指輪…?』
「探すの大変だったんだぜ。透のサイズはすぐわかったけど」
ハートが中央にあって、カラフルな石が周りに散らばっているピンキーリング。
総悟を見ると照れくさそうにしながらも笑ってくれた。
「お姫様」
『お姫様!?』
「いいから、黙っときなせェ」
総悟はあたしの手の中にあった指輪を小指にはめた。
そして、小指にキス。
「…ま、これの続きは後で」
* * * * * *
「次は…神威さんです」
「透、俺からはコレだよ」
『これって』
「わかった?」
『薔薇…』
まさか、神威がこんなロマンチックなことをするとは思わなかった。
「意外って顔してるネ」
『うん、だって』
「俺だってこーゆう時は、さ」
すると神威は薔薇を一本取って、茎を自分の指に当てた。そして、かすめた指から血が滴る。
「綺麗な花にはトゲがあるってゆーけど、俺ならそのトゲにさえ耐えられる自信があるからね」
――勿論、綺麗な花は透だよ。
可愛らしくウィンクしてみせた神威に思わず吹き出した。
『あたしが綺麗な花なわけないよ』
「ふーん、俺がこんなに食べちゃいたいって思うくらいなのに」
食べちゃいたい…?
「おー、真っ赤。もしかして、いやらしいこと考えちゃった?」
『そんなわけない!てかこの話題ジミーさんともした!』
「クスクス、じゃ、透は俺に食べられるのを楽しみに待っときなよ」
『ちがーう!』
ドタバタな神威は妖しい笑顔をしていた。
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