「離さないって言ったのは誰よ…」

止まらない涙、鼻水をすすりながら寝室へ向かう。

思い出すのは銀ちゃんとの甘い日々ばかりで、考えれば考えるほど苦しくなった。

「好きだよ…」

なんでこんなにも好きなんだろう。自分のことなのに不思議なくらい。

ベッドにうつ伏せに寝ていると後ろの方で気配がした。

「……っ…な、に」

怖いながらも目を向ける。でも誰もいない。

「ふぅ」

安心したのもつかの間だった。次の瞬間何者かに体を押さえ付けられた。

「な、なに!?」

「やっと…だよ。透」

不気味な声はあたしの耳元で聞こえる。思わず身震いをした。

「あの…白髪の男がいたから…やっとこれで2人きりだ…」

あたしを押さえ付けている男はじっとりとあたしの全身をなめ回すように見てから、ニヤリて笑う。

「これからはずっと僕のもの。早く…綺麗にしてあげるね」

男はあたしの首筋に顔をうめた。

恐怖で声なんか出なかった。



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