鬼斬 | ナノ
第十訓
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『ジミーさんどこ行くんスか』
「いつからジミーになったの?」
『冗談ですよ。でこんな早くにどこへ?』
「…花見だよ、それの場所取り」
『そうなんですか。大変ですね…』
「うん…」
『………』
「………」
『いってらっしゃい』
珍しく早い時間に目が覚めて廁に行こうとしたら山崎さんと会った。なんだか目の下にくまがあって、昨日も遅かったんだと気付く。端から一緒に行く気はなかったので一応笑顔で送り出したらブツブツと文句たれながら出て行きました。「あれって普通、俺も行きましょうかとか言うよね」とか言いながら。
『でもなぁ、起きたばっかだし。眠いし。山崎さんにきた仕事だし。……ふゎぁ』
もう1回寝ることにした。
頑張って、山崎さん。
「…悠早く起きなせェ。そんなに部屋めちゃくちゃにされたいんですかィ?」
『おはようございます沖田さん』
爽やかとは言えない朝をまた迎えた。
『沖田さんが俺より先に起きるなんて……何かあったんですか?』
「花見でさァ」
『あ、そういや山崎さんが』
早朝にあった話をしながら、食堂へ向かう。そこにはほとんどの隊士が集まっていて、沖田さんは私を起こす為にきてくれたらしい。ジュース奢れとか言われたけど、とりあえず聞かなかったことにしておこう。
「悠も来たか!さぁ行くぞ!」
近藤さんの元気な声を聞いて騒ぎながら進んでいく隊士たち。
『あ』
「どうかしたか?」
『俺まだ寝間着でした。待たせてて悪いんですけど先に行ってもらってていいですか?場所さえ教えてもらえれば後から行けるんで』
「ああ、わかった。場所は――
場所は変わって花見場所。
一面の桜はとても綺麗に咲き誇っている。
『近藤さんが言ってたのはここら辺なはず……ていうか桜綺麗だなー』
桜を眺めながら歩いていると、なんかを踏んだ。
『ちょ、こんなところにゴミ捨てるなんて最低なやつもいるも………さ、行こう』
「待てェェェ!ちょっと待て!!今完璧俺のこと見たよね?見たうえで放置しようとしたよね!?」
『母上にゴミは拾ってくるなって言われてるんで……』
「俺はゴミかァァァ!てかそのキャラはなに!?」
『はぁ、こんなところで何してるんですか山崎さん。花見の場所取りしてるんじゃなかったんですか』
ボロボロの山崎さんを見ているとなんだか本当に哀れだ。
「まぁ、ちょっとね」
『ところで真選組一行はどこに?』
「目の前にいるよ」
『ホントだ』
えらく盛り上がっていると見える真選組一行。仕方なく山崎さんに肩を貸してゆっくりと近づいていった。
「叩いてかぶってジャンケンポン大会ぃぃぃぃぃぃぃぃ!!」
「「「「花見関係ねーじゃん!!」」」」
なんか、銀さんたちもいるし。
「おお、悠も来たか。今からな、お妙さんを手に入れる戦いを始めるんだ!」
「近藤さん、花見場所を手に入れる戦いだ」
なんだか光景を見ただけで何があったのかすぐにわかった。
『山崎さん、たぶん司会進行役やらされると思うよ』
「俺も思った」
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