鬼斬 | ナノ






第八訓
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『ふぁー、平和なこったぁ』

今日もいつも通りの見廻りです。正直なんか事件とか起こんないのかな。薬はきそうもないし、残りはまだあるからいいんだけど。

「あ、蘭アル!」

「ちょ、いきなり本名で呼んじゃダメだって神楽ちゃん!」

歩いてきたのは、神楽ちゃんと新八くんと体調の悪そうな銀さん。

『今は大丈夫だよ、新八くん。それよりどっか行くの?』

「仕事で人捜しに行くんです。」

『もしよかったら俺、じゃなくて私も連れてってくれない?』

「いいんですか!銀さんはこの通り使いものにならないし…。」

「やったネ!」

『仕事なんて全然なくて暇だったんだー。人捜しなら楽そうだし』












辺りには沢山の天人。
子供は来るべきではないところ。
煙草の匂いや酒の匂いが立ち込めていた。

「あー?知らねーよ、こんな女」

『この店によく遊びに来てたらしいんですけど』

私は隊服ではない男物の服を着ている。
真選組と分かるとなにかと厄介だから着物着ろと銀さんに言われて、ミニ丈を渡されたけど即断った。

「んなこと言われてもよォ。地球人の顔なんて見分けつかねーんだよ…名前とかは?」

「えーと、ハ…ハム子」

「ウソつくんじゃねェ明らかに今つけたろ!!そんな投げやりな名前つける親がいるか!!」

『俺、知らないよ?神楽ちゃん』

「私も忘れたネ、なんかそんなん」

「オイぃぃぃ!!ホントに捜す気あんのかァ!?」

私達と話しているのは、インコみたいな天人。協力はしてくれそうだけど、肝心の名前がわかんないから先へ進まない。

「蘭!」

『神楽ちゃん俺、今男バージョンだから…って誰それ?』

神楽ちゃんの隣にいたのは、パンチパーマですんごいデブの男の人。

「もうこれでいいアル」

『これだとハム男になっちゃうって』

「とにかく新八んとこ行くネ」

『あ、ちょっと…』

「新八ー!」

「もうめんどくさいから、これで誤魔化すことにしたヨ」

「どいつもこいつも仕事をなんだと思ってんだ、チクショー。悠さんも間違ってることは間違ってるって言ってあげて下さいね」

『アハハ……それより、』


ドサッ


「!」

「ハム男ォォォォ!!」

『やっぱり、か…』

「!――悠さん…やっぱりって」

ハム男は地面に倒れ、ニヤニヤ顔でヨダレを垂らしている。間違いない……これは、

「あーもう、いいからいいから。ったくしょーがねーな、どいつもこいつもシャブシャブシャブシャブ」

「シャブ?」

そう、クスリだ。

「この辺でなァ最近新種の麻薬が出回ってんの。なんか相当ヤバイやつらしーからお客さん達も気をつけなよ!」

ハム男を引きずって店の奥に入っていく天人。

『2人とも…ここ、以外とヤバイかもね』




その頃、
銀時は遭遇していた。


…血を流したハム子に。














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