鬼斬 | ナノ






第七訓
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『近藤さんがー、決闘でー、汚い手使われてー、負けましたー』

スピーカーって楽しいや。












「副長ォォォォ!!局長が女にフラれたうえ」

「女を賭けた決闘で汚い手使われ負けたってホントかァァ!!」

只今、会議中。
しかし会議なんてしていなかった。

「会議中にやかましーんだよ。あの近藤さんが負けるわけねーだろが。誰だ、くだらねェ噂たれ流してんのは」

「沖田隊長と寺川がスピーカーでふれ回ってだぜ!!」

『スピーカー1回使ってみたかったんで』

「俺は土方さんにききやした」

ニタァと意地の悪い笑みで沖田は言った。

「コイツに喋った俺がバカだった…。悠もなに総悟に洗脳されてんだ」

「人聞き悪いな土方さん。俺ァ別に洗脳なんてしてやせんぜ。悠がスピーカー使わせて下さいって言ってきたからねィ」

『なんか清々しいじゃないですか』

「なにがだァァ、内容は全く清々しくないんだよ!…会議中に私語した奴ァ切腹だ。俺が介錯してやる、山崎…お前からだ」

「え゛え゛え゛!?俺…何もしゃべってな…」

「しゃべってんだろーが、現在進行形で」

隊士達は一斉に静まる。


ガララ


襖が開いた。

「ウィース、おおいつになく白熱した会議だな。よーし、じゃあみんな。今日も元気に市中見廻りにいこうか」

やってきた近藤の頬には大きなたんこぶがあり、噂が本当であることを肯定させた。

会議に出席した者達はなにも言えずに近藤を見つめる。

「ハァ」

土方は仕方なくため息をついた。













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