鬼斬 | ナノ






第五訓
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『俺の歓迎会ですか?』

まさかそんなことやってくれるとは思わなかった。

感動してたのは、始まる前までだったけど。











『なんか改めて紹介されると緊張しますね』

昨日、近藤さんが

「そういえば悠の歓迎会をやってなかったな。明日やろう!」

と言ってくれた。
改まって皆に挨拶をしたことがなかったから緊張しまくり。襖を挟んだ向こう側に隊士達はいるんだけど、やけに騒がしい。

『あれ?なんか向こう結構うるさくないですか?』

「まだ始まってねェんだからんなワケ、」

んなワケあったァァ!!
今日の主役出てきてないのに、盛り上がっちゃってるよ。

「……なんか悪いな」

『…全然気にしませんので。近藤さんはどこにいますか』

キョロキョロ辺りを探していたら、いました。

『……』

「……」

『……』

「…悪い」

『…いえ』

そこにいたのは、真っ裸の近藤さん。

嫁入り前だってのに。汚ねーもん見せんなや!!


1人でチビチビ烏龍茶を飲んでいたら、隣に誰かが腰をおろした。

「悠も酒飲みなせェ」

『何言ってんすか。俺も沖田さんも未成年ですよ』

この理由も確かにあったけど、なにより……









私が酔って女がバレたら、パーだ。全てがパーになる。

お願いだから私に酒を進めないでぇぇ!

「飲め」

『無理です』

「飲め」

『無理ですって』

永遠と言い合いをしていたら、酒を口に突っ込まれた。

『ガババッ…ゲホ…ゴホ……何、するん…れすか…』

あれ?
うまく喋れない…
頭もボーとするし。

『なんか、気持ちよくなってきまひた……』

「だろィ」

ニヤリと笑う沖田さんに危機感を感じられないくらいに、私は酔っちゃったみたいで…す……











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