鬼斬 | ナノ
第十二訓
――――――――
『嫌だー…』
もしかしたらバレるかも、と思ったけれど今更遅く。
嫌々、着替える。
『……元は女だもんなぁ』
鏡を見て呟いて、また近藤さんの部屋へ向かった。
「おぉ!おもいっきり女の子じゃないか!」
興奮状態の近藤さん。
……土に還れ、と一瞬でも思ってしまった私は若干病んでしまってるかもしれない。
「似合うじゃねーかィ」
沖田さんはニヤニヤ。
いつの間にか居た土方さんは固まっている。
「じゃっ、次は化粧してきなせェ」
『えっ、第一持ってませんし』
「菊子さんに頼んどいたんでさァ」
強制的に、菊子さんのいる医務室へ。菊子さんと一緒にいるのは全然いいんだけど、流石に化粧は…。
医務室に着いて、色々な事情を話すと菊子さんは大きく頷いて楽しそうに笑った。
「私に任せなさい!別人にしてあげるわ!」
不安ばかりなのは、おかしいんでしょうか?
「完成、よ」
数分後、安堵のため息をついた菊子さんとは逆に私は鏡を見て本当に驚いていた。
『す、ごい…』
「でしょう?この手のことは得意なのよ。これで以前見た“女の子”にも似てないでしょ?」
菊子さんが私に魔法を掛けたんじゃないかってくらいの変わり様。確かに私なんだけど、とびきりオシャレな女の子って感じだ。
『ありがとうございます!これならバレない!』
「ふふ、さぁ行ってらっしゃい。局長さんたちびっくりするわよ。…あと、任務くれぐれも気をつけてね」
『はい、ありがとうございました』
これは、びっくり仰天するに違いない。皆の反応が楽しみだ。
『失礼します』
ガララ
開けたとたん、一斉にきた視線には戸惑いの色が浮かびはじめた。
「えーと、誰ですか?」
まず近藤さんは全くわかっていない。
「こらァ…スゲーや」
「おい…ホントに悠なのか…?」
土方さんの言葉に反応した近藤さんは叫んだ。
「えェェェエェ!?」
『俺ですよ、勿論』
「化粧の力ってすげーな」
感心している土方さんを近藤さんはバシバシ叩く。
「トシ!悠を任務にやるのが嫌になってきた!」
「はぁ?」
「だ、だってぇー」
菊子さん凄いです。
一切疑われてない。
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