鬼斬 | ナノ






第十一訓
――――――――
「悠ー!」

『すみません!』

未だ覚醒しきっていない身体を奮い起たせて走った。寝坊してしまったのだ。

昨日、ばれた時の不安から思わず涙を流してしまった。しかもなかなか涙は止まってくれなかった。結果、夜更かしに繋がってしまったのだった。

もう、そろそろなんだろうなぁ。アレが切れるのも。

不安だけれど、どうすることも出来なかった。クスリを手に入れる為に真選組に入ったのに、入手ルートが教えられるわけでもないし、この人達に対して必要以上の感情を抱いてしまっている。大事、になっている。

「早くしろ!副長に怒鳴られるぞ!」

「今行きます!」

クスリが切れた時、私は暴走するんだろうか。倒れるんだろうか。迷惑かけないように、ここからやはり姿を消さなければ。

そう考えた瞬間、全身から力が抜けた。

……あれ?……まさか!

「…おい、悠!?どうした!どうしたんだ!?」

遠くの方で隊員さんの焦った声が聞こえる。

ヤバい。これは一番ヤバいパターンじゃない。

もしかしたら、女とばれる!


しかし、意識は次第に闇へと流されてしまった。










prev next






45/58

- ナノ -