第十一訓
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鬼斬。
その通り名の如く、その者の手は身体は血で汚れていた。
小さな身体にたくさんの闇を抱えて。
「面倒くせェ…」
書類の整理も、最近巷に流れている噂のことも。
鬼斬が真選組に…なんてあり得ないことだと勿論思っている。ただ、その可能性が全くないこともないのではとここ最近思うようになってきた。
それも、悠の存在が謎すぎるからだ。
小さな身体に端正な顔立ち。
それに…あの強さ。一番隊の隊長である自分でさえ、負けそうになったのだ。
悠からの情報が入るたびに俺達は混乱させられている。過去のことも大きな疑問。
さらにもう1つ気になることがあった。
――幕府が異常なほどに鬼斬を探している。
幕府は鬼斬から狙われている立場じゃないのか?
「面倒くせェ…」
書類から目を離して、仰向けに寝転んだ。
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