鬼斬 | ナノ






第十訓
――――――――
『さぁ始まりました。勝利の女神はどちらに微笑むのか!叩いてかぶってジャンケンポン大会!』

「なんだか悠楽しそうだね」

『ありがとうございます。一時期こういうのにハマってたんで』

「いやほめてないんだけど」

楽しい気分から殴り落とすのはやめてほしい。これだからいつまで経ってもジミーなんだよ。

「今絶対失礼なこと考えたでしょ」

『そんなわけないですって』











「一戦目、近藤局長VSお妙さん」

一歩、お妙ちゃんが足を前に踏み出した。

「全て、終わらせてくるわ」

……え、お妙ちゃん。

「ハイ!叩いてかぶってジャンケンポン!!」

お妙ちゃんがパーで近藤さんがグー。近藤さんは素早くヘルメットを被りセーフと思われたが、

「セーフじゃない!!逃げろ近藤さん!!」

「え?」

新八くんが叫ぶが時既に遅し。お妙ちゃんは呪文を唱えながら近藤さんをヘルメットの上からピコピコハンマーで殴った。

そしてその時その場にいた全員が思ったことは、ルール関係ねーじゃんということだった。

「局長ォォォォォォォ」

「てめぇ、何すんだクソ女ァァ!!」

「あ゙〜〜〜、やんのかコラ」

「「「「すんませんでした」」」」

その場にいる全員がお妙ちゃんに土下座をする。…私もだけど。

『近藤さん!近藤さん起きてください!……ダメだこりゃ』

気絶した近藤さんを隅に引っ張る。哀れだよなぁ。

「二戦目の人は最低限のルールは守ってください…」

「!!」

「お゙お゙お゙、もう始まってんぞ」

「速ェェ!!ものスゲェ速ェェ!!」

二戦目は、神楽ちゃんVS沖田さん。ものすごい音を出しながら、ものすごい速さで戦っている。

『2人ともすご…』

速すぎてヘルメットとハンマーを持ったままみたいだ。

「なんだとウチの総悟なんかなァ…」

沖田さん達の逆の方では、銀さんと土方さんが飲み比べ対決をしていた。

「ところで悠はなんでてめぇと知り合いなんだ?」

「俺はアイツの救世主だからねー」

「は?」

「アイツが天人に………」

『何を勝手にベラベラ喋ってんだ』

酔っぱらってる銀さんはニヤニヤ顔で昔のことを話そうとしていた。

「あー……蘭じゃねぇか」

………は?
今、なんて?

「何言ってんだ、万事屋。酔っぱらって人間違えてんぞ」

「蘭は蘭だろ。てめえの方が間違ってんじゃねーか」

「蘭って鬼斬と同じ名前……」

ちょ、ヤバい気がする。

『銀さん何言ってんすか。またどこぞの女と飲みに行ったんですか?俺と間違えないでくださいよー』

こんだけ言えば…っ…。

「女の子だもんなァ」

あの白髪バカは私に向かってそう言いました。

「女?」

『…銀さん。男の俺を間違えるくらいバカになってしまったのか。仕方ない、酒いっぱい飲んでバカはバカなりに頑張りましょう!』

「バカバカ酷いよね」

近くにあったビンを思いっきり口に突っ込んだ。土方さんにも記憶を飛ばしてもらうために突っ込んだ。

「悠」

『山崎さん!?』

「2人とも、屍になってるけど…」

『あ、ああ、大丈夫です。ほっといて向こう行きましょう!』

とりえあず土方さんには銀さんが話したことを忘れてもらわなくちゃならない。

酔いつぶれた2人を近くに捨ててその日は帰ったのだけれど、寝ようにも寝られなかった。もし、バレたら?そうしたら私は裏切り者になるんだろうか。


忘れていた薬のこと、も。









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