鬼斬 | ナノ






第九訓
――――――――
「…屯所に来い」

『……はい?』

「だから屯所に来いって言ってんだよ」

「多串くん何言っちゃってんのー、連れ込む気ですかコノヤロー」

「後で隊士達に土方さんが女連れ込んだって言っておきやす」

「ト、トシそんな…まさか…!!」

「なんでおまえらは3人一気に喋るんだよ!近藤さんに至ってはもう意味わかんねェ!!」

どうやったらこの3人みたいにボケられるのか私は知りたい。

あ、全身がツッコミでできてる新八くんがツッコミたくてウズウズしてるよ。

…もちろん無視しますが。

なんでだよ!!by駄眼鏡

[脱線した話を戻します]


「じゃあ、顔見せろ。」

何やら口論になったあげくこういうことでひとまず落ち着いたらしい。

いや、こんなことで落ち着かれても困る。

銀さんをギロリと睨めば、申し訳なさそうに苦笑いが返ってきた。

『顔…見せたら、納得してくださるんですか?』

でも元々は私のドジが招いたことだし…。ここらで腹を括るか。

「あぁ」

――パサ

「「「……」」」

『私の顔は犯人にいましたか?』

「…どうやら違ったみたいですぜ、土方さん」

「一般人か。つーか、やましいことがないんなら初めから顔見せやがれ」

コイツ謝んねー気かっ!

「お嬢さん、すまねェ。俺らが変に疑ってしまって」

代わりに謝ってくれたのは近藤さんでした。流石です。

「というか、お妙さんのいとこなだけあって美人ですね!!」

え?
また脱線ですか。

「なぁトシ!!」

「俺にふるな…」

土方さんは私から顔を背ける。

「あら、土方さん。顔が真っ赤よ」

クスクス可愛らしい笑顔のまま、近藤さんの首を絞めている場面は見なかったことにしておこう。

「あ、新ちゃん神楽ちゃん!買うの忘れてたものがあったわ。ついてきてちょうだい。…じゃあ皆さん失礼しますね」

近藤さんを抹殺し終わったお妙ちゃんは新八くんと神楽ちゃんを引きつれて去っていった。

『じゃあ私も。失礼しま、』

「ちょっと待ってくだせェ」

なんだよ!せっかく便乗して逃げようと思ったのにー!!

『なんですか』

「アンタに似てるやつ見たことが……」

ピコンと真選組3人の顔が上がったかと思えば、彼らは口を揃えて言った。

「「「悠」」」

………。

『…知りませんよ、そんな人』

「そりゃそうでさァ。あ、土方さん悠に携帯わたしやしたよね?」

「渡したが…?」

「アイツ呼びやしょう」

な、なんだってェェエ!?

『で、ですが。男性が女に似てるとなるとなんだか失礼じゃないですか』

「…なんで男だってわかる?」

『……名前が男性ぽかったので』

危ない。自分のことを喋ってしまいそうになる。

「アイツなら大丈夫だろ」

色々と大丈夫じゃねーんだよッ!

そうこうしているうちに、私のカバンに入っている携帯が鳴った。

……鳴ったとしたら、かかってくるのは、

「あれー、悠出やせんね」

「アイツ無視してんじゃねーのか!…つーか、お前携帯鳴ってるぞ?」

『これは出なくていいんで』

頑張って笑顔を作りながら、どうやってこの状態から抜け出すかを考える。

銀さんに何か案を…!!

そう思って辺りを見回したが、バカっぽい(いや、バカ)銀髪はいなくなっていた。

私を置いて逃げやがったな。絶対ェ後でシめる。

「さっきから思ってたんですがねィ、なんで俺が電話を切るとアンタの携帯も鳴り止むんだろねィ?」

うわーっと、結構いいとこ突いてきましたね。

『偶然ですよーきっと』

アハハー、と笑いながら言ってはいるけど頭ん中ヤバイ状況でーす。頭がアハハしちゃってます。











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