鬼斬 | ナノ






第八訓
――――――――
――バシャ

外から水をかけた音がした。

「オーイ起きたか坊主?おねむの時間はおしまいだよー」

坊主…?

まさか…。

『新八くん、神楽ちゃん…』

このドアを挟んだ向こう側、つまり外にいるんだ。なぜ私が隔離されているのかはわからないけど。

『このドアさえ、壊せられれば…』

でも私は何も持っていない。

真剣は春雨に取られてしまっている。

……ん?

沖田さんから土方さん抹殺用って無理やり持たされた爆弾があったはず!

ポッケをゴソゴソやっていたら、手のひらサイズの球体があった。

『これで……』









――ドガンッ

「!!――何事だ?」

粉煙で外がよく見えない。

次第によくなっていく視界でやっとことの重大さが理解できた。

新八くんの周りには多くの天人。

神楽ちゃんにいたっては、意識がないまま海へと落とされそうになっていた。

『神楽ちゃん!!新八くん!!』

「オイオイ、売り物は奥の方に縛りつけとけって言っただろ」

『何言って、…!?』

「フン、やっと効いてきたかお前にだけ特殊なものを嗅がせたからな。逃げられちゃ困るもんだからよ。男らしいが顔は高値で売れそうだからな」

『……あぅ…ぅ…』

「蘭さん!!」

いきなり苦しくなったかと思うと立っているのも辛くなって膝をついた。

「神楽ちゃんを…蘭さんを離せ!!ここは侍の国だぞ!!お前らなんて出てけ!!」

まさに危機的状況。
私しかまともに戦える者がいなかったのに。私まで……。

すると、今まで気を失っていた神楽ちゃんがニヤと笑った。

「ほァちゃァァァ!!」

「神楽ちゃ…!!」

「足手まといなるのは御免ヨ」

陀絡をおもいっきり蹴った神楽ちゃんはそのまま海へと落ちてゆく。

「待てェェェ!!」

不意に聞き覚えのある声がした。














蘭が爆弾を使う少し前、3人の男が天人と話をしていた。

「だァーからウチはそーゆのいらねーんだって!!」

「つれねーな」

「俺達海賊になりたいんでさァ。」

番をしている天人はおかしな連中に嫌気が差して、中に戻ろうとした。

――ジャコン

しかし、天人の首元には3本の刀が突き付けられていた。











――ゴォァァシャッ

「…いでで、傷口ひらいちゃったよ」

「銀さん!!」

神楽ちゃんをギリギリ助けたのは、銀さんだった。

「てめェ生きてやがったのか」

――ドドン

「なんだ!?」

「陀絡さん、倉庫で爆発が!!」

「転成郷が!!」

爆発音とゴゴゴという火事の音、それらと共に現れたのはヅラさんだった。

「俺の用は終わったぞ。あとはお前の番だ、銀時。好きに暴れるがいい。邪魔するやつは俺がのぞこう」


そして私の後ろにも気配が。

「旦那、俺も加勢しまさァ。旦那は一番偉そうな奴やってくだせェ」

『…おき…た…さん…?』

「どんだけボロボロになってんでさァ、悠」

『ハ、ハハ…すみません…』

3人は次々に敵を倒していく。人数じゃ圧倒的に不利なはずなのに、いつのまにか優勢になっていた。


そして中央には、銀さんと陀絡が向き合っている。

「てめーら終わったな。完全に"春雨"を敵にまわしたぞ。今に宇宙中に散らばる"春雨"がてめーらを殺しにくるだろう」

「知るかよ。終んのはてめーだ」

いつになく真剣な目の銀さんに昔の面影を感じた。

「悠こっちだ」

不意に沖田さんに呼ばれ、私と神楽ちゃんと新八くんは船を出た。

後ろで刀と刀のぶつかる音が聞こえたけど、心配はしなくてもいい自信があったから振り返ることはなかった。










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