鬼斬 | ナノ
第八訓
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今日は珍しくいつもと違う道を見廻りしていた。
「あ、沖田くんじゃねーか。……ちょうどいい」
変な格好をした旦那と、
「旦那なんつー格好してんですかィ。そっちは…?」
見知らぬ男がそこにはいた。
「キャプテンカツーラだ」
……見知らぬ、男?
「…桂ァァァ!!!」
「待て!!一旦落ち着け!!」
見知らぬと思ったソイツは桂だった。旦那は俺と桂の間に入ってくる。
「旦那ァ、退いてくだせェ。退かねェならアンタも斬らしてもらうぜ」
「話聞け!今から俺らは春雨んとこに行く。そこにおたくの隊士も拉致られてんだよ」
「……うちの隊士…悠ですかィ?」
「わかってんじゃねーか。で協力してくれるよな?」
「旦那と関わりありそうな奴ァ悠しかいやせん。それにアイツは強い方でさァ。そう簡単には、」
そい言いかけてふと思い出した。
――春雨は麻薬密売をしているらしい…
「おおかた予想はついてるみてーだな」
「…だがアイツは只の平隊士。死んだらそれまででさァ」
興味は持っていたが助けるまでではない。
「そう言わずによォ。俺は万事屋だ。協力してくれたら、俺らもそれなりに借りは返すよ?」
「……ふーん…ホントですかィ?その言葉忘れないでくだせェよ」
「え、何言うつもり;」
こうして、俺は悠達を助けるのに協力することになった。まぁ死なせるのにはまだ勿体ねェ気もするしな。
桂は今だけ、協定を結ばされた。牢屋にブチ込むチャンスだったってのに…。
でも暇潰しにゃぴったりだ。
「で、コレ着て」
「……こんなダッセェもん着るんですかィ?」
「沖田くん、その格好じゃ完璧入れないからね?」
「チッ、わかりやした」
「このページで一言しか話していないんだが…」
桂は前を歩く2人に聞こえない位の声で呟いた。
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