鬼斬 | ナノ






第八訓
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「遅いな銀さん」

ハム男が倒れてから、私達は銀さんを座って待っていた。

『ここは…早く出た方がいい』

こんなところ早く抜け出したい。

「私捜してくるヨ」

ガタ、という神楽ちゃんが立ち上がる音と同時に拳銃を突き付けられた。

「てめーらかコソコソ嗅ぎ回ってる奴らってのは」

「なっ…なんだアンタら」

拳銃を突き付けているのは天人で他にも大勢いる。とても逃げられる雰囲気ではない。

「とぼけんじゃねーよ。最近ずーっと俺達のこと嗅ぎ回ってたじゃねーか、ん?」

「そんなに知りたきゃ教えてやるよ。宇宙海賊"春雨"の恐ろしさをな!」

"春雨"…聞いたことがある。麻薬とかを売りさばいてるって。最悪な奴らに目を付けられてしまった。


「コイツらにクスリ吸わせたらどーですか?」

下っぱらしき奴が言った。
「いいな、それ」

粉の入った袋を持って近づいてくる。
でも2人に吸わせるわけには行かない。

『この2人にはやめろ。やるなら俺だけにしろ』

もう私の体はボロボロだしこれくらいのなら、私にはあんまり効き目はないだろう。

「やめるネ!」

神楽ちゃんが必死に私を止めようとする。

天人はそんな神楽ちゃんを鼻で笑って、クスリを無理やり口に流し込んだ。

「やめろと言われるとなァ逆にやりたくなっちまうんだよ」

次第に神楽ちゃんの目は虚ろになり何も映さなくなってしまった。

「お望み通り次はお前にしてやるよ」



これからの記憶は定かじゃないけど、連れていかれる途中。私は銀さんにごめんなさい、と謝った。



また、

私は守れない。












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