鬼斬 | ナノ






第七訓
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〈白髪の侍へ!!てめェコノヤローすぐに真選組屯所に出頭してこいコラ!一族根絶やしにすんぞ 真選組〉

電柱には真選組の隊士達が作った紙が貼りつけてある。どう考えても警察には見えないだろう。

「なんですって?」

『斬るんですか!?』

「ああ斬る」

「件の白髪の侍ですかィ」

副長、隊長それに蘭は紙を回収しながら白髪の侍を捜していた。

「土方さんは二言目には“斬る”で困りまさァ。古来、暗殺で大事を成した人はいませんぜ」

「暗殺じゃねェ、堂々と行って斬ってくる。で悠は何やってんだ…」

『そんなことしなくても、適当に白髪の侍見付けて屯所に連れて帰ればいいんじゃないですか?ほら、この人とか』

紹介したのは、確かに白髪だが小汚いおっさん。

「木刀、持ちな」

「ジーさん、その木刀でそいつらの頭かち割ってくれ」

『パッと見さえないですが眼鏡とったらすごいんですよ…』

「武蔵じゃん」

「何その無駄なカッコよさ!!」












「マジで殺る気ですかィ?白髪って情報しかこっちにはない……悠は顔見てたんですよねィ」

武蔵と別れたあとも3人はタラタラと歩いていた。

『あー、はい。そうですね。でも顔しかわかりません』

これは完璧ウソだ。
名前は勿論知っているし、白夜叉ということも知っている。

「おーい兄ちゃん危ないよ」

「!」


ブオッ

「!!――うぉわァアアアァ!!」

いきなり上から落ちてきたのは、木材のかたまり。

「あっ…危ねーだろーがァァ!!」

「だから危ねーっつったろ」

「もっとテンションあげて言えや!わかるか!!」

『……しまった…』

蘭は声でそれが誰かわかったので、せめてもの抵抗として顔をなるべく隠した。

「うるせーな。他人からテンションのダメ出しまでされる覚えはねーよ」

「あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛!!」

ヘルメットをとった男は、蘭の予想通りの人物だった。

「てめーは…池田屋の時の…そぉか…そういやてめーも銀髪だったな」

「…えーと、君誰?」

銀時は土方のもとへと歩いてゆき、肩に手を置いた。

「あ…もしかして多串君か?アララ立派になっちゃって。なに?まだあの金魚デカくなってんの?」

「オーーイ!!銀さん早くこっち頼むって」

「はいよ。じゃ、多串君俺仕事だから」

梯子を登っていく銀時を見送りながら、蘭は安心したようにホッと胸を下ろした。

「いっちゃいましたよ。どーしやす多串君」

『もうめんどくさいんで帰っちゃいませんか多串君』

「誰が多串君だ。悠も入隊当初からキャラ変わってんぞ」

『人間、進化しますからね』

「お前の場合は退化だろ。ったくあの野郎すぐ人のこと忘れやがって。総悟、ちょっと刀貸せ」

「?」

『決闘…するんじゃありませんよね?』

「するに決まってんだろ」












「コノヤロー人材不足じゃなかったらてめーなんて使わねーのによォ。そこちゃんとやっとけよ」

「オメーもな、ハゲ」

屋根の修理をやっている銀時の後ろで、


ガッ


音がした。

「爆弾処理の次は屋根の修理か?節操のねェ野郎だ。一体何がしてーんだてめェは」

「爆弾!?あ…お前あん時の」

「やっと思い出したか。あれ以来どうにもお前のことがひっかかってた。あんな無茶する奴ァ真選組にもいないんでね。近藤さん負かす奴がいるなんざ信じられなかったが、てめーならありえない話でもねェ」

「近藤さん?」

「女とり合った仲なんだろ。そんなにイイ女なのか、俺にも紹介してくれよ」

土方は銀時に真剣を投げ渡した。

「お前あのゴリラの知り合いかよ。それよりアイツのこと……!!」


ガキィィン


「ぬをっ!!あだっ!!あだっ!!あだっ!!」

土方はなんの前触れもなく銀時に斬りかかった。

「ゴリラだろーがなァ。俺達にとっちゃ大事な大将なんだよ。剣一本で一緒に真選組つくりあげてきた、俺の戦友なんだよ。誰にも俺達の真選組は汚させねェ。その道を遮るものがあるならば剣で……叩き斬るのみよォォ!!」


ガゴォン

土方の剣は屋根に当たり、瓦を破壊する。

「刃物プラプラふり回すんじゃねェェ!!」


ゴッ


そして銀時が土方の頭を蹴った。しかし倒れざまに土方はニヤリと笑う。


ズバン


「!!」

銀時の肩から胸にかけてを斬ったのだ。










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