鬼斬 | ナノ
第六訓
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『なんで、なんでこんなことに……;;』
せっかくの休みが近藤さんのせいで無くなった。
「よけいなウソつかなきゃよかったわ」
お妙ちゃんは先ほどのことを後悔中。
『銀さんの許嫁ってこと?』
「えぇ…」
「心配いらないヨ。銀ちゃんピンチの時は私の傘が火を吹くネ」
『それはやめてね、神楽ちゃん』
怖いことを言う彼女に冷や汗が流れる。ホントにやりそうで。
あの後場所を移動して、橋の上では、私とお妙ちゃんと神楽ちゃんと新八くん。下には近藤さんがいる。ちなみに銀さんは廁に行っているらしい。
あ、今帰って来た。
「遅いぞ、大の方か!!」
「ヒーローが大なんてするわけねーだろ。糖の方だ」
「糖尿に侵されたヒーローなんてきいたことねーよ!!」
糖尿に侵されたヒーローなんて、どう考えてもヒーローじゃないと思う。
「得物はどーする?真剣が使いたければ貸すぞ。お前の好きにしろ」
「俺ァ、木刀で充分だ。このまま闘ろうや」
「なめてるのか貴様」
「ワリーが人の人生賭けて勝負できる程大層な人間じゃないんでね。代わりと言っちゃ何だが俺の命を賭けよう――……」
銀さんのカッコいい言葉に近藤さんはクク…と笑った。
「いー男だな、お前。小僧、お前の木刀を貸せ」
「?」
しかし銀さんが近藤さんに木刀を貸した。
「勝っても負けてもお互い遺恨はなさそーだな」
「あぁ、純粋に男として勝負しよう」
「いざ!!」
「尋常に」
「「勝負!!」」
2人が同時に動き、木刀を振り上げた。
「あれ?」
だが、近藤さんの動きが固まる。
「あれェェェェェェ!?ちょっと待て先っちょが…」
そして、銀さんは木刀を振った。
「ねェェェェェェェェェェェェェェ!!」
ザザザザザッ…
「甘ェ…敵から得物借りるなんざよォー。廁で削っといた。ブン回しただけで折れるぐらいにな」
「そこまでやるか!」
「こんなことのために誰かが何かを失うのはバカげてるぜ。全て丸くおさめるにゃコイツが一番だろ」
「コレ…丸いか…?」
ガク…
近藤さん、DOWN。
「よォー。どうだいこの鮮やかな手ぐ…ちゃぶァ!!」
ドゴ
「あんなことまでして勝って嬉しいんですかこの卑怯者!!」
「見損なったヨ!!侍の風上にも置けないネ!!」
「お前、姉ちゃん護ってやったのにそりゃないんじゃないの!!」
散々ボコボコにされた銀さんを置いて、2人は颯爽と帰っていった。
「フフッ…」
『銀さんらしいや』
「本当に…不器用な人」
『…そうですね』
「じゃあまたね、蘭ちゃん」
『じゃあね、お妙ちゃん』
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