鬼斬 | ナノ
第五訓
――――――――
「フゥー」
隊士達がガヤガヤと酒を飲んでるとき、俺は縁側でタバコを吸っていた。
「土方さん」
声を掛けてきたのは総悟。いつになく大人しくて正直気味が悪い。
「どうした?」
「悠のことなんですが…アイツぁ過去になんかあったみたいですぜ」
「過去、だと?」
そんな風には見えなかった。一体なにがあったというのだろうか。
「俺が無理やり飲ましたんですがねェ」
アイツ総悟と同じで未成年だろ、何してんだ!と言いたいところだったが、これからの内容がいつにもまして真剣そうだった為やめることにした。
「誰にだかはわかりやせんが、閉じ込められていたみたいでさァ。殺しもやらされていた…」
衝撃的だった。
「だから…あんなに強かったのか」
まだ謎は多いが少し悠の一面が見れた気がした。
「悠は敵には思えやせんがね」
総悟がこう言うのも珍しい。
「…監視つけんのは、中止だ」
月を見ながら酒を一口飲、
「副長ォ隊長ォ!!」
「何だァァ!格好くらいつけさせろ!」
「な、なにか分かりませんがすみません!…それより悠がッ!」
「悠がどうしたんでィ?」
「来ていただければわかります。早く!」
「「?」」
隊士の言ってる意味がよく分かんなかったが、とにかくヤバそうだったから俺らはついてくことにした。
『ふざけてんじゃねーよ、あぁ?』
嫌な予感がする…
『てめーら、全員土下座な』
「…悠、何やってんだ……;;」
そこにいたのは、顔を真っ赤にさせて隊士に土下座をさせている悠だった。
「寝ていたのですが、先ほど起きて…こんなことになりました」
余程酒癖が悪いらしい。
「なかなかやりますねィ」
総悟に至っては感心しちまってる。俺が行くしかねェか。
「悠、やめろ」
『なんだ、うっせぇな邪魔すん、』
パタ―…
「は?」
『スースー』
「さっきもコレみたいにいきなり眠っちまったんでさァ」
俺に喧嘩ふっかけてくるかと思いきや、眠っちまうとは……。
少し盗み見た悠の寝顔はなんだか守ってやりたくなるような―…
「……っ…///」
男のアイツになんてこと考えてんだ!!俺も酔っちまったか。
「ここで酔いつぶれてる奴らはほっといていい」
そう言って俺は自室へ帰った。
「……ありゃぁ…」
総悟が意味有りげに悠と俺を交互に見ていたのにも気づかずに。
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