鬼斬 | ナノ
第五訓
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俺は1人でチビチビ烏龍茶なんかを飲んでる悠の隣に腰をおろした。
「悠も酒飲みなせェ」
『何言ってんすか。俺も沖田さんも未成年ですよ』
馬鹿真面目にそう言ってくるもんだから、何がなんでも飲ませたくなる。それに酔ったら、自分のことなんかも話すだろう。身元が怪しいならこーやって自分から吐かせてしまえばいい。
「飲め」
『無理です』
「飲め」
『無理ですって』
でも、なかなか飲もうとしない。しかたねェ、無理やり飲ますか。
『ガババッ…ゲホ…ゴホ……何、するん…れすか…』
悠の口に酒を突っ込んでやった。すると、とたんに赤くなる顔。
『なんか、気持ちよくなってきました……』
「だろィ」
ニヤリと笑ってもなんの反応もなくふにゃふにゃしてる。改めてコイツは女に見えると思った。
しかし悠はいきなり血相を変えて俺を睨んできた。
『アイツらがいなければ…』
「アイツら…?」
『閉じ込めてた、奴ら…』
閉じ込めてた?どーいう意味だ。
「悠、そりゃあどーいう意味でィ」
『殺しなんてしたくなか……』
話が途切れたと思ったら、イビキをかいて寝ていた。
聞いた話は一応近藤さんや土方さんに言っといた方がいいな。
『…よっと』
悠を適当に寝かせ、まずは土方さんのもとへ向かった。
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