鬼斬 | ナノ
第二訓
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「そーいや、悠は隊士になった理由なんかあんのかィ?」
『はい、理由は……』
って!!言えない!薬を入手するために入ったとか。
『えと、ですね。この国を…守りたいと思いまして…』
これでいいのか!?
「ふーん」
なんか自分から聞いた癖に全然興味無さそうなんですけど。
『沖田さんは、いつからここにいるんですか?』
「近藤さんが立ち上げたときからいまさァ」
『そうなんですか!』
他愛ない話をして、屯所に戻ったのだった。
「お前ら、鬼斬って知ってるな」
まさか、ここまで早く情報がくるとは知らなかった。
帰ってきたら、近藤さんがこんな話をしてた。
「なんでも江戸に入ってきてるらしい。見付けたら、即刻捕まえるか斬るかすること」
私は江戸に入ってくる前から男装をしていた。ばれるわけないと思ってたけど。
「攘夷志士として名を馳せた少女のことですよね。とても強い」
「今は少女って歳じゃないけどな。18くらいか」
「わかりました。…どうしたんだ、悠汗凄いぞ?」
『え、なんにもないですよ;;』
ここでばれたら、薬貰えなくなる!それは無理!
「特徴ってないんですか?」
「特徴なぁ…確かアホ毛が生えてたはずだ」
「アホ毛ですか。悠みたいな?」
「そうそう」
こっち振んなァァ!!そりゃ、本人ですから!
『ちょっと俺、腹痛くなってきたんで部屋戻っていいですか』
「廁行ってこい」
『いやそんなんじゃないんで』
別にしたくないのにあんな臭い所居れるか…絶対嫌だ。
「まさか……陣痛」
『ふざけんな』
ここの人やっぱおかしいと思います。なに、突っ込めってか?入隊したばっかなのに局長に突っ込めと?
『まじで、部屋戻っていいですか』
私がどんよりした空気を漂よわせれば、近藤さんは首を縦に振ってくれた。
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