花言葉(首無)



『首無ぃ!!』

「どうかされましたかっ!?名前様!」

『暇ぁ!』

「……なんだ、遊んでて下さい」

『遊ぶ相手がいないの。首無遊ぼっ』

「仕事が……」

「首無、名前様と遊んであげて。後は私がやっておくから」

「だけど…」

『やったァ!ありがとう、つらら!大好き!!』

「いえいえ」

ニコッと笑った雪女とは反対に嫌そうな顔をする首無。

『行こ行こー!』

スキップしながら首無の前を行く彼女は、リクオの幼なじみであり妖怪達のこともよく知っている。


『……首無!!』

「はいッ!?」

なかなか歩き出さないのに痺れを切らしたのか、いつもは出さない低い声で名前を呼ぶ。

『何やってんのー、早くしてよ』

遊んであげるのに偉そうだな、と少し苛立ちを覚えたのだが彼女の楽しそうな顔を見るとそんな些細なことはどうにでもよくなる。

「待ってください。ゆっくり行きましょう?」

『むぅ、わかったよ。首無はおじいちゃんだもんね』

確かに年齢で考えれば、彼らの歳の差はとても大きい。しかし見た目はほぼ同じ、寄り添って歩く姿は美男美女カップルと思えるほど。

「ところで、どこに行かれるんですか?」

『え゛……そ、それは…か、買い物だよ!』

明らかに動揺する名前に首無はこっそり笑みをこぼした。彼女は昔から嘘をつくのが下手だった。

「買い物ですかー、久しぶりですよ」

その嘘に付き合ってあげる彼もやっぱり優しい、というより“名前には特に優しい”と言った方が正しいだろう。

これでわかったと思うが、首無は名前が好きなのだ。なら何故先ほど嫌な顔をしたかというと、彼女が雪女に大好きと言ったからというなんとも可愛らしい理由。

『ふふ、あーもうちょっとで着くから目隠しするね』

彼にタオルを巻く。

「え?なぜですか?」

『べ、別にいいじゃん!』

首無はされるがままに目隠しをされ、名前に手を引かれながらに進む。

首無は自分の顔が赤くなるのを感じていた。

『着いた…』

名前が止まったと同時に首無のタオルも取られる。

途端に、目の前に広がったのは一面のチューリップ。

「綺麗……、ですね」

『でしょ?首無に見せたかったんだー』

笑った名前はチューリップ畑よりも綺麗だ、なんてくさすぎて言えないけどと首無は思った。

『チューリップの花言葉、知ってる?』

「花言葉…すみません、わからないです。教えてくれませんか?」

『いやだよ』

「え゛」

『自分で調べて、ちゃんと自分でね』

名前はそう言い残して足早に去っていった。

「なんか悪いこと言ったかな……」

少し落ち込みながらも、とりあえずチューリップの花言葉を調べなければいけない首無は花畑をあとにした。








「あった…」

手にしたのは、花言葉が載っているであろうもの。そこからチューリップを探す。

「感謝の言葉とかだったら嬉しいな」

彼女のことだから、口では伝えられずこういう方法にしたのはよくわかった。

「これ……」

チューリップが載っていたのは恋のページ。無言で立ち上がった首無は本を閉じるのも忘れていた。






「あ…」

クスリと口元を押さえて笑った若菜は花言葉が載っている本を見ている。

「やっと伝えれたのね、名前ちゃん。それにしても彼女らしいわ」

本をそっと棚に戻す。

「新しいカップルの誕生ね。これからまた楽しくなるわ」











+あとがき+
首無よくわからん!!
……頑張らなきゃ

チューリップの花言葉は………
確か告白系のです。
ちゃんと覚えてないんですけど;;
(1/2)
>>