愛おしい(夜若)




『リクオ様ぁ!!!』

屋敷内に響き渡る高い声に奴良組の妖怪達はため息をついた。

「また名前はリクオ様を見失ったのか」

「リクオ様もリクオ様だがな」


『リクオ様出てきなさーい!!』




これは今から何年前のことだっただろうか。今の状況と真逆だな、なんてリクオは小さく笑った。

「名前、早く出て来い」
襖の向こう側では名前が人間の格好に着替えている最中だ。

『ちょ、待って下さい!』
彼女は雪女、黒田坊に混じって明日からリクオと同じ学校に行くのだ。
今は明日していく人間の姿を無理言ってさせているのだった。

「まだか?」

つい待ちきれず声をかける。彼女はリクオにとって片想いの相手でもあるのだから。

『き、着替えれたのですが…』

「何か不都合でもあったか?」

『いえ、そういうことはないのですが。…やっぱり恥ずかしいですっ!///』

返ってきた言葉は予想に反するもの。なんだか自分を意識してくれてるようで嬉しいと思った。

「大丈夫だから、1回見せてみな」

優しく促すと襖がゆっくりと開いた。

『どう、でしょうか?』

元から年齢に合わず可愛らしかった彼女は人間の姿になって更にそれが増したふうに思う。

『似合ってますかね』

控えめに笑う彼女のなにもかもが愛おしい。

「あぁ、」

結局気のきいたことは言えないのか。誉め言葉の1つや2つあのじじいなら簡単に言いそうだ。

「似合ってる」

やっと言えたのがコレ。これで精一杯。でも彼女は嬉しそうにまた笑う。

『ありがとうございます』
自惚れてもいいのだろうか。この笑顔は自分だけのものだと思いたい。


彼女が妖怪の姿に戻ったら、この想いを伝えようか。
受けとめてくれることを信じて。








+あとがき+
初ぬら孫\(^O^)/
よくわからんかったぁ!
てか夜若っぽくないような……
ヘタレですしねぇ;;
(2/2)
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