きみの心に触れさせて
ズキン、頭と背中に痛みを感じて目を覚ました。
『あ、沖田さんっ大丈夫ですか?』
どうやらあの後意識を失ったらしい。名前が部屋の外まで俺を運んでくれたんだろうか。
「ここまで…名前が運んでくれたのかィ?」
『あの部屋を出るまでは私が運びましたけれど…その後は隊士さんが』
どうりで。途中温かな夢から戦いの夢へ変わったわけだ。
「悪かったねィ…」
『何言ってるんですか!』
声を張り上げた名前は涙目になって、俺に頭を下げた。
『全部、私のせいです。私があんなところで泣いてたから…』
「待ちなせェ」
一呼吸してから、痛む身体をゆっくり起こす。
「名前の所に行ったのも名前を庇ったのも、俺の意思でさァ。……それに謝られるくらいなら、感謝された方がよっぽど嬉しい」
全て、ちゃんとした俺の気持ち。名前は笑顔の方が似合う。まぁ、泣き顔もそそるっちゃぁ、そそるが。
『…、ふふ。ありがとうございます』
やっぱ、それが似合う。名前には。
「ところで…」
『はい?』
「名前仕事に戻んなくてもいいのかィ?」
『あー、はい。局長さんもちゃんと知ってるんで』
「?…いいならいいんでさァ」
なんだか腑に落ちないところもあるが名前がいいって言ってんだからいいか。
小さな欠伸が出た。
『沖田さん…』
「なんでィ」
『私もひとつ聞いてもいいですか?』
妙に改まっているように見える。なんか、深呼吸してるし。名前は一体俺に何を聞きたいんだろう。
『…沖田さんは、何でそんなに…優しいんですか?』
頬は以前見た時よりも赤く染まっている。少し震えている、手。
思いっきり返答に困った。ここで素直に自分の気持ちを打ち明けたらいいんだろうが…俺にはそんなこと出来なかった。
「んなの…後で名前に俺の言うこと聞かせる為に決まってんだろィ」
俺の言葉を聞いて、名前は一瞬、泣きそうな顔をした。
『…ですよねー。はぁ、沖田さんらしいです。じゃあ、ちょっと緊急のお仕事思いだしちゃったんでパパッと終わらせてきます』
無理矢理の笑顔、俺のせい?
俺は気持ちを伝えてよかったのか?
きみの心に触れさせて
どうすればいいのか、わからない
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mokuji