「おーいっ!」

『あ、はい。今行きます!』

アレンと少し話してから、科学班へと来た彼女は忙しなく動いている。

「次はこの書類整理よろしく」

「こっちの机片付けて」

「コーヒー入れて下さい」

しかしながら、四方八方から声をかけられあたふたするばかり。そんなところを見かねたリーバーは苦笑しつつ話しかけた。

「悪いな」

『いいえ、とんでもないです。私がやろうと思ってしにきたんで』

それを聞くとほっと安心したような顔になって、それから少し申し訳なさそうに言った。

「そうか。そう言ってもらえると助かる。1つ、本当なら俺達がやることなんだが頼んでいいか?」

『はい、なんですか?』

「実はな、またコムイ室長が逃走して…探してきてほしいんだ」

『なるほど…わかりました。行ってきます!』

「よろしくな」





ホームの中にいることは確かなはずなので、まず1番良く知っていそうなリナリーに聞くことにした。

『リナリー!いきなり悪いんだけどコムイさん知らない?』

「コムイ兄さん?また逃げたのね…談話室とか書庫にいるかしらね?」

『ありがとう』


まずは談話室に行ってみたが数名のファインダーしかいなかった。


次に書庫にも行ったが今度は数名の科学班の人達だった。

『(いないなぁ…)』

次はどうしようと考えていると近くを通りかかったファインダーに話しかけられた。

「もしかして……コムイさん探してますか?」

『え?そうなんですが…知ってるんですか?』

「はい。先程、周りを警戒しながら歩くコムイさんを見ました」

『どこでですか!?』

「コムイさんの実験室の前辺りでした」

『そうですか!ありがとうございました』

ファインダーと別れたあと、なんでそこを思い出さなかったんだと思った。が、あそこには近寄らない方がいいと言われたことがあったため行くのは初めてである。





『ここ…かぁ』

トントンッ

ノックしたが応答はなし。

『(いないのかな…)』

ギャァァアアア!!

戻ろうと後ろを向いた瞬間聞こえた叫び声に顔を引きつらせる。

『(な、中どうなってんの?)』

今ではさっきのが嘘だったように静かになっている。

『(入りたくないけど…連れ戻さないと!)』

気合いを入れてドアに手をかけた。

キィー…

『コムイさーん、いますよねぇ?出てきて下さい』

「ニャー」

コムイの代わりに出てきたのは猫だった。

『ん?なんで猫がいるの?』

辺りを見渡すと机の下に割れたビーカーが。そして、コムイの服があった。

『…まさか、』

彼女は急いで猫を持って、科学班のリーバーのもとへと走った。

『リーバーさーん!!』

「どうした、見つかったか?」

『それが…』

言いながら、猫を見せるとリーバーの顔色がどんどん悪くなっているのがわかる。

「こいつ…まさか…」

『多分、そのまさかだと思います』

「……コムイ室長のバカヤロォォオオオ!!」


悲痛な叫び声はホーム中に響いた。


『あの…リーバーさん』

「なんだ?」

『リナリーがホームを案内し終わったらコムイさんとこに来るんですよね…?』

「……ジョニー、タップ!!早急に猫から人間に戻す薬を探すか作るかしろ!俺も手伝う」

『私ここにいても邪魔なだけですね。これで失礼します』

「ありがとう。助かったよ」




「あるか?」

「ないです。どうしよう」
人間に戻す薬が一向に見つけられない。

「ったく、どこにあるんだ…」

「リーバーくん、何探してるの?」

「コムイ室長を猫から人間に戻す薬探してんスよ……え?」

「何言ってんの?僕なら人間じゃない!」

「え…なんで」

猫に視線を移してリーバーは思い出した。この猫見たことがある、と。


実は
実験室にいた猫は以前コムイが拾った猫だったのだ。そして、割れたビーカーに入っていたのはただの水。それを猫がひっくり返しただけであった。

「じゃあ!服は何なんですか!?」

「服はねー…
僕が実験室に行ったら、猫ちゃんが飛び付いてきて濡れちゃったから着替えたんだよ。めんどくさくてそのままにしたままね」

「何はともあれよかったです。ハァやっと仕事に戻れる……あ!リナリー達が来ちゃいます。急いで準備してくれェェ!!」


この後、無事間に合って話ができました。

「コムイ室長頼むから仕事してくれー!!」








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