まぜまぜ。
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「可愛いですね」

表情を一切変えずにそう言う彼は、私とほぼ同じ目線からキスをした。

いつから始まったのかさえ、もう覚えていないこの関係。私はきっと精神が麻痺してる。


きみを、きみに、きみで


まだこれからが夏らしい。気温は上がっていくばかりで、夏があまり得意ではない私にとっては憂鬱だ。視線を上に向けてぼーっと空を見ていたら、視界の中に黄色が映った。

「黄瀬、あついよ」
「ばれちゃったっスか」
「わかりやすすぎ」

人懐っこい笑顔を浮かべた私の彼氏さんは、また、今日も、笑顔の間に一瞬だけ不安げに瞳を揺らした。

「…#名前#っち、聞きたいことがあるっス」

やけに真剣だねどうしたの。なんて聞かない。だって黄瀬の考えてることも大体は予想出来るから。

「…なんちゃって」
「なに、あんたバカにしてんの?」
「ち、違うっスよー」

でもどうやら、私達は臆病だ。否、それは今までの行動とかで知っていたことだけれど。だってさ、あれだけ勘のいい黄瀬が気付いていないはずがないでしょう。

「ねぇ、#名前#っち?」
「ん?どーした?」

一気に私達の間の距離がなくなって、唇に柔らかい感触。

「俺は、大好きっス」

好きだよ、うん。あたしも。
そんな言葉は私の口から出ることはなかった。ただ、小さく頷いただけだった。


きみへ、
好きだよ。大好きだよ。

わかってるよ。"きみ"が、
俺じゃないことくらい。



「黒子くん」
「僕は遠慮なんてしません」

もう私はこの時点で、
自分の気持ちがわからなくなっていた。







*08/09 06:49
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