滲む汗が肌に当たる風によって乾いていく。ぞわりと肌を粟立たせる風を起こす扇風機に顔を近付けて皆がよくやることをやってみる。震える声と暴れる髪が顔にあたって少し痛い。
首本を擦り抜ける作られた風と窓から吹き込んできた2つの風が乱暴に部屋のものをかき回し、俺の肌をまた走る。

「いちのー」

起こる風で水分が飛ばないようにと閉じていた目を開いて声をかけてくれた先輩がいる後ろを振り返る。すると先輩は暑いにも関わらず胡坐を掻いて、俺をそこに座らせた。

「…あっつ」
「せんぱい、あつい」

背中に回された体温が高い先輩の腕にこめられていく力にどんどん先輩との隙間がなくなって密着していく。横に背かせた顔にあたる先輩の髪が汗でわずかに濡れているのを感じながら俺は先輩の肩に手を置く。

「一乃、まわせ」
「あついですよ…せんぱい」
「いちの」

子供みたいに駄々をこねる先輩の頼みにしぶしぶ折れて、先輩の頭を抱えるように手を回すと満足したように先輩が息を吐いた。
先輩の後頭部に回した手で頭を撫でながら俺の頬を押しつける。その時微弱ながら強くなった力にむせて咳をすると先輩は顔を上げて俺の頬や鼻頭にキスをし、唇に噛み付く。
皮膚の裂けた痛みが俺を襲う頃には先輩の舌が俺の口内で動き回る。血を遠くで味わいながら先輩の背中に回した手に、指先に力をいれる。夏の暑さのせいで薄着になっていた先輩の背中に前より伸びた爪が服ごしにささる。
呻く先輩の声が腰にじんわりと響き舌を珍しく自分から絡めると先輩は判っていたかのように背中に回した腕に力をいれ俺の注意を逸らす。

「、はっ…七助」
「んん、なん、です」
「すきだ」
「はい、俺も、好きです」


ありきたり愛情表現
(抱きしめてキスをして)


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