二卵性双生児 兄臨弟静 no more 明日は英語の試験がある。普段は試験勉強などしないのだけれど、あまりに暇だったので、俺は机に向かってノートにペンを走らせていた。 「臨也、辞書貸せ」 「辞書ってどの?それに臨也って呼び捨てにするなって言ってるでしょ」 突然部屋にずかずか入ってきたのは双子の弟の静雄。二卵性であることもあって双子だと気づいてもらえないことも多い。つまり、あまり似ていないということだ。 そんな弟に俺は昔から俺が兄だって刷り込んでいたのになかなか兄として扱ってくれない。 「いいだろ別に。いいから英和貸せ」 「よくない。俺の方が兄なんだからさ。敬意を持って」 「たかだか何十分かの差だろ」 「歴然とした差じゃないか。昔は兄ちゃん、兄ちゃんって可愛かったのにさ」 いつだってこの調子だ。そんなこと言ってると辞書貸してあげないんだから。 「ったく、うるせぇな。ベッドの中で呼んだら喜ぶ癖に」 「なっ!?そんなことっ!!」 確かに俺たちは双子の兄弟であると同時に肉体関係をもつ間柄でもある。 事の初めは中学の頃。彼女のいない弟をからかって、童貞のシズちゃんにはわからないだろうけど…、というようなことを言ったところ、キレられ、いきなり襲われた。 下手だし、乱暴だし、なんで俺なのかわかんないし、色々と大変だったわけだが、以来俺たち兄弟はまるで恋人のように肌を重ね続けていたのである。 その度に"好きだ"というシズちゃんの真意の程は未だに図りかねている。 「そんなこと、あるだろ。否定するって言うなら…試すか?」 シズちゃんがドアを閉め、鍵をかけて歩み寄ってくる。 いや、ちょっと待て。 まさか本気でこんな真っ昼間から二人きりでもない家でシようなんて言わないよね…? 「ちょっと待ってよ。何する気かな…?」 「何って。この流れですることなんて決まってるだろ?」 こいつ、何で開き直ってるわけ? 「今何時だと?親もいるって言うのに!」 「大した問題じゃないだろ?」 「十分大した問題だよ!!」 身の危険を感じてシズちゃんの方を向けていた椅子を机に向かって回転させ背を向ける。 部屋から逃げ出すにはシズちゃんをすり抜けなければならないから。そしてそれはこの部屋の広さを考えれば不可能なことだから。 どうしてあんなことでこんな危機に陥らなきゃいけないんだ。 俺は自分が兄だって正当な主張をしただけなのに 後ろから回された手がシャツの下に潜り込んで胸の飾りを弄る。 項に舌を這わされて肌が粟立つ。 「ぅ、ぁ、止めなって」 硬くなった乳首を強く摘ままれ、また焦らすように周りでくるくると円を描く。 やめさせなきゃいけないのに意思に反して反応してしまう自分の身体が恨めしい。 「シズちゃん!分かった、分かったから!」 もう、無理。これ以上は… これ以上はヤバいと身体が主張している。 今止まらなければ……流される。 「認めるからっ、だから、やめよ!ね?」 本当にもう… 椅子を回され向かい合わされ、目があった。 その目は驚くくらい本気だった。 「今更」 阻む間もなくズボンに手が伸びる。 「やめると思うか?」 シズちゃん、明日のテスト大丈夫なのかな 場違いにそんなことを思った。 素敵企画「家族愛」様に提出させていただきました。 やっぱり少し短かったですね。 少し伸ばしたんですけど。 お題にちゃんと添えたか少し心配です。 臨也の気持ちにリンクさせてみたんですが… 20110513 戻る |