来神




カッターシャツ




まったくなんだってこんな面倒な物を着なきゃいけないんだ。

「あれ?珍しいね、カッターシャツなんて」
「うん、まぁね。…洗濯が溜まった、ってことにしといて」
「いや、最近ずっと晴れてるし温かいし。しかも、一人暮らしでもないでしょ?」
「だから、そういうことにしといてってば」

カッターシャツのボタンを上まで止めなきゃ隠れなかったんだから仕方ないじゃないか
あのバカシズ
だから、変なとこに痕つけるなって言ったのに

「ボタン、全部止めてて暑くない?」

普通第二ボタンくらい開けるよね、うん、知ってる。

「頼むからそれ以上言わないでくれるかな」

まったく。どいつもこいつも…

シズちゃんもシズちゃんだよ。痕つけるなって言ってるわけじゃないんだから、考えてつけろよ。
あの単細胞馬鹿

「おい臨也、現国の教科書貸せ」

………なんでよりによって今来る!?
逆ギレしたい衝動にかられたが、ここで思ったままにキレるほど大人気なくはないのでロッカーから教科書を出して、声の主―シズちゃんに渡しに行く。

「サンキュ。珍しいなそのシャツ。ボタン、暑くねぇか」

ブチッ
もう知らない。とりあえずぶっ飛ばす!!!

「誰のせいだと思ってるのかな…?」

耳許で不穏に囁いて、袖口から出したナイフを振りかざした。

「知らねえよ、何がだよ!」
「まさか、本当に知らないとか言わないよねぇ」

忘れたとは言わせないよ、本当に

「とりあえず、人のいないとこに出なよ。怪我人出るよ」
「手前、自分が勝てるとでも思ってんのか!?」
「足元に跪かせてあげるよ」
「泣いて詫びることになるぜ」

屋上に出れば、そこは閑散とした俺たちのバトルフィールドで。
本気で喧嘩を仕掛けてくるシズちゃんにどうやって詫びさせたものかと思案しながら、鋭い突きや蹴りを避ける。

程よく間が空いた。

次の攻撃が訪れる前に素早くカッターシャツのボタンを一つ外す。
襟を掴んで開き、その所有印を見せつける。

「だからさ、こんな不用意なとこに痕つけたことの謝罪を聞いてないって話なんだけど」
「な!?」

シズちゃんの動きが止まった。

「悪かった」
「カッターシャツって暑いし、アイロン要るし、みんなに、どうしたのって聞かれるし、とにかく面倒なんだからね」

どうやら、本気で悪いと思ってくれたらしいシズちゃんに歩みよる。

「ごめん」
「わかった。許す」

頬に軽くキスをして仲直りの意を伝えると始業のチャイムが鳴った。



こんな感じにくだらないことでしょっちゅう喧嘩してたらいいな、と。
そういえば関東ではワイシャツ、関西ではカッターシャツという話を聞いたことがあるのですが、どうなんでしょう。
私は関東の人ですが響きが気に入ったその瞬間からカッターシャツと読んでいます(笑)


20110321


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