所謂テレフォンs〇x




繋がり隔たり




「シズちゃん、それ、駄目だって」


シズちゃんが社員旅行の名で一週間の温泉巡りに出掛けて5日が経った。
性欲の塊であるシズちゃんとの行為は3日と空くことがなかったから、そんな生活に慣れた俺の身体は物足りないような倦怠感に支配されていた。
我慢の限界。
俺は、誰でもすること、と羞恥と自尊心を追いやって、真夜中に広いベッドの上で所謂自慰行為に至ったのだった。

「はぁ、あ、あ、ん」

目を伏せて、恋人の手つきを思いながら性器を擦る。
いつもの、焦らしながら、絶頂に導いてくれる手つき。

「駄目、も、ちゃんと、してってば」

誰もいない部屋に自分の喘ぎ声だけが響く。


しかし、世の中本当にびっくりするような偶然というものがある。

ベッドサイドの携帯が着信を告げる。

仕事の依頼だろうか。それとも…
予想しながらも確認すれば、予想通りの相手だった。

「出なきゃ後でキレるよねぇ、やっぱり」

汚れていない左手で携帯を取り通話ボタンを押す。

「もしもし」
「よぉ、今何してた?」
「え、まだ、仕事してた」

沈黙に心拍数が上がっていくのがわかる。
シズちゃん相手に何故だか上手く嘘が吐けない自分がいた。

「嘘だろ」
「な、何の根拠もなく人を疑うのって良くないんじゃない?」
「根拠ならある」

ドキッ
どんな根拠でももう誤魔化せない。そんな嫌な予感。

「一つ、普段なら『もしもし』なんて、常識的な応答はしねぇ。二つ、声質が明らかにいつもと違う」
「そんなの…、たまたまでしょ」
「三つ、俺が出掛けてもう5日だ」

気づかれてる。
こんなにも簡単に覆せそうな根拠が、俺に確信を与えた。

「そろそろ、自分でも、もて余してたんだろ?手伝ってやるよ」
「外れてたら、ものすごく恥ずかしい予想だってわかってんの?ホント馬鹿だね」

口から出るのは精一杯の強がりだけ。

「外れてねぇだろ」
「うるさい」

シズちゃんにシてもらうことに心が揺れた。

「今の場所は?」
「ベッドにいる」
「服は?」
「まだ…」
「脱げよ、全部」

スウェットの上下と下着をベッドの下に落とす。

「どうせ、乳首弄れてないんだろ?触ってやるよ。ギリギリまで焦らして、な」

乳輪をくるくるとなぞってやると期待に突起がぷっくりと硬くなってくる。

「シズちゃん、も、片方も」
「両方?欲張りだな」

携帯の向こうから笑いが聞こえる。
ハンズフリーにした携帯をシーツに置いて、両の乳輪をなでまわす。
片方の指に唾液を馴染ませて弄ればより強い快感に襲われる。

「舐めちゃ、だめぇ、ね、シズちゃん、ちゃんと触ってよぉ」
「なんだよ、いつもより感じて。ちゃんと両方弄ってやってるだろ」
「違う、ち、乳首も触って欲しいの」
「仕方ねぇな」

爪が乳首を引っ掻く。

「はぁっ、あん」
「もう下もこんなに蜜だらだら垂らしてんじゃねぇかよ」
「あぁ、弾いちゃだめぇ」
「簡単にイってくれるなよ?」
「シズちゃんこそ、パンパンな癖に」

タラタラと先走りの伝う性器を無心に擦る。
「おっと、これ以上やったらもたねぇな」
「嘘、やめちゃ駄目」

まさしく絶頂への山を駆け上がり始めた所でシズちゃんがそんなことを言う。

「俺も、手前のナカに入りてぇんだよ」
「は、恥ずかしいこと、真剣に言うな!」

しかも、シズちゃんを受け入れるには、後ろを解さなければならない。

「ローションとバイブ用意しろ」
「本当に最後までするの…?」
「当然」

こうなればシズちゃんは退かない。
俺はローションとシズちゃんがたまに置いていくバイブをいくつか取りに行く。

「ど、どうしたらいい?」
「中指、濡らして、ゆっくり、指先から埋めて」

四つん這いになって言われた通りに中指を埋める。

「や、やだ、怖い」

いつも、シズちゃんにされて慣れている筈なのに、自分の指と感じてしまうと無理だった。

「大丈夫。俺の指を感じればいい」

シズちゃんの骨ばった長い指がナカを解す。
はじめはゆっくり、徐々に速く、強く。

「あ、あ、シズちゃん、イイ」
「指増やすぞ」
「ん、ね、前立腺、さわって」
「おねだりかよ、この淫乱」
「だって、欲し、い」

二本の指が前立腺を執拗に抉る。

「あ、あ、や、だめぇ」
「イくなよ?勝手にイったらお仕置きな」

シズちゃんの声が耳から俺をぐずぐずと犯す。

「やぁっ、ね、シズちゃん、も、欲しい」
「欲しい?見えねぇからな、分かるように、ちゃんと口で説明してくれなきゃ何が欲しいのかわかんねぇな」
「いじわる」
「何言っても俺は譲らねぇってわかってるんだろ?」

無視して勝手に行為を続けることが出来る筈なのに、シズちゃんの言う通りにしなきゃいけないと思うなんて。俺はいつからこんな風になってしまったんだろう

「シ、シズちゃんのおっきなおちんちん、俺のぐずぐずケツまんこに、突っ込んでくださいっ」
「可愛過ぎだ、一番ぶっといのいくぜ」

その場にある一番太いグロテスクなバイブを押し当て、一気に突き込む。

「ん、ぁああああ」

白濁がシーツを汚した。

「勝手にイったな」
「ご、ごめんなさい」
「これから、終わるまで俺の言うことに逆らうなよ、それから、帰ったら覚えてろよ」
「ご、め、なさい」
「バイブ入れろ、MAXでな」

躊躇いはあるが今日はシズちゃんの命令が絶対。逆らえば逆に後が辛いことになる。

「ふぁ、や、ぁああっ」
「嫌と言う割にはうまそうに食ってんじゃねぇかよ」
「ちが、だめっ」
「お前はもっと激しくしても大丈夫だろ」

バイブを激しく出し入れすると、強すぎる快感に身体が震え、無意識の内に逃げ腰になる。

「シズちゃ、だめ、も、動かせ、ない」
「なんでだよ」
「気持ち、よすぎ、て、んぁ、逃げちゃ」
「仕方ねぇな。一番イイとこだけにして、前弄ってやるよ」

シズちゃんの切羽詰まった声色に興奮が高まる。バイブを片手でちょうどいい場所に固定して前に手を伸ばす。

「んぁっ、は、は、あぁっ」

喘ぎ声を抑えることなんてもう出来ない。
気持ちいい、おかしくなりそう。

「シズちゃん、も、イきたい」
「いいぜ、イけよ」
「や、は、ぁああっ」



吐き出された白濁を手のひらに受けて、後ろのバイブも取り出してスイッチを切ると、一気に物寂しさにとりつかれた。

「シズちゃん、イった?」
「ん?あぁ」
「ねぇ、キスしたい」
「…」
「シズちゃんに抱き締められて眠りたい」
「臨也…」

普段だったらこんなこと絶対言えない。
相手が遠い故の虚しさと、相手が遠い故の甘え。

「帰ったらすぐにお前ん家に行く」
「当たり前でしょ」
「早く会いてぇな」
「お土産持って来なかったら入れないから」

本当にそんなことが出来るわけないけれど。

「おやすみ、シズちゃん」
「あぁ」



更け行く夜の広い部屋に取り残された空虚な気持ち。



「シャワー浴びてこなきゃ」





テレフォンs〇x一度書いてみたかったんです。
長くなりましたね(汗)
この後、シズちゃんは臨也を思いながら、もう一回くらいヌいてると思います(爆)


20110303(20110317誤植訂正など)

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