静←臨
来神
バレンタイン




本当の気持ちは小箱に詰めて




ガタッ、ガラガラガラ

「うわっ」

下駄箱に食べ物詰めるなよ。
どうしろっていうのコレ。

雪崩になったチョコレートの山を前にする折原臨也にとってバレンタインはどちらかと言えば憂鬱な日だった。

「うわぁ、今年もすごいね。おはよう」
「新羅、おはよう」

二人で下駄箱前のスペースに広がったチョコレートの箱や袋を拾い上げていく。

「今年もモテるな、お前は」
「あ、門田君おはよう」
「ドタチンだって朝から呼び出されてた癖に」
「数の問題だ、数の」

そうこう言い合う内に大量のチョコをどうにか全て持つことに成功して、教室へと向かう。
そこでまた出待ちに会い、机の上にもいくつも置いてある。

「はぁ」
「今日1日の辛抱だ、頑張れ」

そう言って自分の席に荷物を置きに行く友人に頷きながら自分鞄から小さな箱を取り出す。
箱には臨也とだけ手書き。
筆跡の特徴が出るように。

箱をポケットに収めると、教室を出て屋上に向かった。

屋上には先客がいた。

「あれ?こんなとこにいたらチョコ貰えないよ?」
「煩ぇな。ほっといても机の上に置いてくだろ」
「とか言って本命チョコから逃げてるだけでしょ」
「あ?なんか文句あんのか?」

どこにキレるポイントがあったのか分からないような文脈でキレるのは勿論シズちゃんこと、平和島静雄である。

「誰が文句ありますって言った?相変わらず短絡的だね」
「よぉしその喧嘩買った、今日こそ地面拝ませてやるから覚悟しろよ!!!」

二人が同時に地面を蹴った。

喧嘩中に忍ばせたチョコに静雄がどんな反応を示したのか、それはまた別な物語。



バレンタイン小説です。静臨の絡みが少ないですね(汗)
自分の恋の駆け引きで女の子からのチョコとか見向きもしない臨也をもっとちゃんと書きたかったんですが…
何はともあれHappy Valentine!


20110214


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