シズちゃんが出ていった部屋で俺は呆然と立ち尽くしていた。 何も無かったことにして、帰ってしまおうかと思った。 でも、シズちゃんは鍵も掛けずに出ていってしまったから、帰ることも出来ない。 することもなくただ待っていれば、否応なしに先程の出来事が思い出される。 なんでシズちゃんはあんなことしたんだろう。シズちゃん自身も考えてした訳ではないみたいだったけど。 しかも俺は…同性であるところの、しかも、喧嘩仲だった筈のシズちゃんに、キス、されて、全く嫌悪感を感じなかったんだ… なんで?どうして? 俺はシズちゃんのことなんとも… シズちゃんは俺のクライアントに過ぎない筈で… どうしよう…なんか俺、シズちゃんのこと、好き、みたいだ… いたたまれなくなって飛び出してきちまったけど、臨也困ってるよな… つか、キスとか、何考えてんだ、俺… いや、何も考えてなかったんだよ。 衝動とか、もっと駄目だろ… 臨也は男だってことも十分わかってるんだけどな…。理屈じゃない、ってことか… 絶対嫌われたよな… モデルやってくれるだけで満足だった筈なのに、自分から関係に傷つけるような真似して… 馬鹿だ、俺。 どうしてこんなに好きになっちまったんだろう くよくよ考えて30分程した頃 ドアが開く音がして気まずい顔のシズちゃんが帰ってきた。 シズちゃんだけが気まずいと思ったら大間違いだ。 無理。顔合わせてられない。 「さっきは、いきなりあんなことして悪かった。悪いけど今日の飯はなしにしてくれ」 そういうこと言う!?シズちゃんがそういうつもりだって思って、俺は自分の想いに気づかされてしまったっていうのに!! しかも帰れってことだよねそれ!? 「分かった。今日は帰るよ」 部屋の入り口で棒立ちになっているシズちゃんを通り過ぎながら、精一杯の主張をする。 「俺、別に嫌じゃなかったから」 「待てよ」 通り過ぎようとした腕が捕まれた。 「嫌じゃなかったってどういうことだよ」 背を向けた体を無理やり向き合わされ、反らした顔を合わされ、顎を上向けられる。 目を泳がせていると、シズちゃんは言った。 「こういうことされてもいいってことだよなぁ」 そのままかみつくようなキスをされる。 「んっ、ん、ん、ふぁっ」 キスってこんなに気持ちいいものだっけ。こんなの初めて。 「ヤベェ、ムラムラしてきた」 「は?」 腕を捕まれ、仕事で何度となく乗ってきたベッドに乗せられる。 「わかるだろ。興奮してるの」 手をズボンの股間に導かれる。 中の猛りがズボンを強く押し上げていた。 程度に多少の差はあれど、自分も興奮しているんだから文句は言えない。 男相手に性的興奮を覚えるなんて信じられないけど、それくらい気持ちのいいキスだった。 シズちゃんの手が、俺のズボンに伸び、抵抗も虚しく、半勃ちの性器が取り出される。 「お前も反応してんだな」 言いながらシズちゃんは自分の性器を取り出す。 「えっ」 思わず声を上げてしまったのは、その規格外な大きさに驚きを隠せなかったから。 そして更に驚いたことに、シズちゃんはその性器と俺の半勃ちの性器を一つに握り込み擦り上げた。 「や、ちょっ、なにす、あぁっ」 「気持ちいいだろ」 だんだんに大きくなる水音と高まる快感に俺は溺れていった。 「シ、ズちゃん、だめ、イっちゃうっ」 「もうかよ、ちったぁ我慢しろ」 そこからシズちゃんは少しの間自分のものを重点的に刺激し、それからラストスパートに入った。 「イく、イく、イっちゃう」 「いいぜ。一緒にな」 「はっ、あ、あ、あぁっ」 「くっ」 シズちゃんの手が二人分の白濁に濡れる。 直視出来ず顔を反らして、上がった息を整える。 「大丈夫か」 「これくらい、平気に決まってるでしょ」 顔が赤くなって火照っているのがわかる。 「じゃあ、今日はここまでにして飯行くか」 「え?」 「受賞でも落選でも飯行こうって言ったの誰だよ」 これから出掛けようっていうの!? シズちゃんの切り替えの早さに半ば驚きながら、俺は身なりを整えた。 20110215 戻る |