同棲設定
甘め




オムライスの難関




「ただいま。今日も冷えるな」
「お帰り。ご飯の支度しちゃうから着替えてのんびりしてて」
「おぅ」

今日の晩ご飯はオムライス。
まずはケチャップライスの下ごしらえから。
ピーマンやハムなどを刻み終えて、いよいよ最大の難関。
玉ねぎの番だ。
あの目にしみる刺激はどうしても苦手だけど、玉ねぎが入らなかったら美味しくないし…
俺はふわとろの卵より何より玉ねぎが苦手なんだ
大きく深呼吸
決心して包丁を入れる。

二つ割って、芯を取って。

嫌だなぁ。冬の玉ねぎって殊に辛みも強いし、しみるんだよね

細かく刻んでいくと目に涙が溜まってきた。

「涙が。止まんないよぉ」

止まらない涙に、嗚咽が漏れる。
目は痛いけど、玉ねぎに触れた手じゃ拭えない。
もう嫌。涙流して、しみる成分を追い出せばいいんでしょ。
思いっきり泣いてやる。

号泣しながら玉ねぎを刻んでいると慌てた様子でシズちゃんがやってきた

「臨也!どうした!」
「ぇ、どうもしないよ?」
「だって大泣きして。怪我でもしたんじゃないかと」

心配してくれたんだ。嬉しいな

「違うよ。ほら、これ」
「ん?あぁ。玉ねぎか。確かにこの時期の玉ねぎはキツいよな」

言いながらシズちゃんは俺の後ろに回ると涙を拭ってくれた。

「でも、あれだな」
「ん?ちょっと!包丁持ってるのに抱きつかないでよ!危ないって!」
「お前のこと泣かせていいのは俺だけなのに」
「玉ねぎに嫉妬するなよ、馬鹿」

俺は包丁を置くと、シズちゃんの方に向き直ってそっとキスをして言った

「俺にはシズちゃんだけだから」

シズちゃんは真っ赤になって俯いてしまった。
こいつは積極的にデレる俺には弱いんだ

「今日の晩飯なんだ?」
「オムライスだよ」
「お前の作るオムライス美味いんだよなぁ」
「うん。まだ暫くかかるけど待ってて」
「なんか手伝うことあるか?つか、玉ねぎ代わる」

シズちゃんが料理を手伝ってくれるのは珍しくて嬉しかった。
だから、素直に甘えようと思った。

「じゃあお願い。俺フライパンとか用意するから」

その夜のオムライスがいつもより美味しく感じたのはきっと気のせいじゃない



パエリアを作ってたらあまりに玉ねぎが目にしみて泣いて思いついたネタ。
玉ねぎに泣かされる臨也とか可愛すぎると思う。


20101225


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