俺と彼女はカルガモ親子 | ナノ
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最後の挑戦




「藤真がフリーだぞっ!」


延長の残り2秒、2点ビハインド。


藤真がスリーポイントラインから放ったシュートはいつも通り綺麗な放物線を描きながらリングに向う。ベンチから聞こえた「入れっ!」という名字の叫びは、スタンドにいる部員たちの割れんばかりの声援の合間にしっかりと俺の耳に届いていた。

しかしそれはリングに嫌われ、スクリーンアウトをしていた俺の頭上へ。


「くっ、」


めいっぱい腕を伸ばしてボールを掴んだ。これを決めれば同点。毎日練習に明け暮れてきたんだ。海南に勝って、俺たちが神奈川代表になる。

最後の最後まで俺はそう思っていた。





「・・・花形、ありがとな」
「間に合わなかった」


ゴール下のシュートを決めたのは試合終了のブザーが鳴った後だった。
今まで何千、何万本、それ以上に。これまで幾度となく決めてきたシュートだったのに。


「海南に、勝ちたかったなァ・・・」


盛り上がる海南ベンチを眺めながら藤真が言ったその一言が、俺の中で何度も繰り返される。

整列して、すぐに執り行われた表彰式。準優勝の賞状を手にしながら海南へ拍手を送った。


(・・・俺のバスケは、ここで終わりか)


明日からはただの受験生になってしまうのかと実感が湧かないその思いに、俺はただ茫然として立ち尽くしていた。



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