俺と彼女はカルガモ親子 | ナノ
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好きってなんですか




「起立、礼ー」


お昼休みを告げるチャイムが鳴り、私はお弁当が入った包みを手に教室を出た。

以前、私のよくない噂があったときに花形さんと健司くんが教室で色々と言ってくれたおかげで、今は何も問題なく過ごせてた。むしろ最近は周りの人たちから話しかけてもらったり、たまにお昼に誘ってもらえたりもしていて、人見知りで友達がいなかった私には驚きの連続だった。

(・・・でもお昼は、花形さんと一緒がいい)



「あ、名字」
「あ・・・こ、こんにちは」


先輩の教室を目指して一歩踏み出したとき、後ろから誰かに声をかけられた。肩がビクッとなりつつ振り返ると、そこにいたのは少し前に私に告白をしてくれた男の子。


「弁当持ってどこ行くの?」


気まずく思う私と違って普通に笑いかけてくれるその人に対してどう返せばいいのか分からなくて、私はやっとのことで「先輩のとこ、です」と口にした。

そしたら彼は少し目を丸くして、それから納得したみたいに「花形さんか」とつぶやいた。一応控えめに頷くと、次の瞬間にはまた爽やかな表情で送り出されたので、私はそのまま先輩のもとへ向かった。


(私が気にしすぎ、なのかな・・・?)


好きだの付き合うだの、恋愛に関してまったく無縁で生きてきたから、告白を断った相手にどう言葉をかければいいかなんて分からない。

まともに友達もいない私には難しすぎるよと考えながら、教室の前で待ってくれていた花形さんと健司くんの元へ急いだ。


(二人への好きと恋愛の好きは、どう違うのかな・・・)


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