俺と彼女はカルガモ親子 | ナノ
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よろしくお願いします




翔陽のバスケ部はかなりの大所帯で、その部員数は県内でも一、二を争うほどだ。だからその人数を前に緊張するのは分からなくもないんだが・・・。


「名字、名前です。よ、よろしく、お願いしま・・・します」


ぐす、と泣きながら自己紹介する名字の頭を藤真が豪快に撫ぜた。そして殆どの部員はハテナを浮かべている。


「マネージャーやってくれっから、よろしくな。人見知りだからこんなだけど、まあ気長に構ってやってくれ」


以上!と藤真がいつも通り簡単に締め、各ポジションごとの練習に移る。俺はセンターの集まりに加わってリバウンドの練習を始めた。
ふと気になって小さな彼女を探すと、どうやら藤真から仕事内容を教わっているようだった。
もう泣いてはいないようで、どこかホッとする自分がいた。


「なあ花形・・・あの子、なんでバスケ部に?」
「人見知り克服のためだと」
「はあ?」


不思議そうな顔をする高野の反応は正しい。俺は先日藤真から言われたことを大まかに高野に説明した。


「あの藤真の妹ねえ・・・」
「正確には幼馴染みたいだけどな」
「どうりでくっ付いてた訳だよな。藤真以外には心開いてない感じだったし」
「それをなんとかしたいんだと」
「・・・なるほど」


まったく監督の自由さ加減も困りものだと、二人で同時にため息をついた。


「予選までに名字が馴染めばいいけどな」
「なんとかするさ」


藤真に直接頼まれた以上なんとか名字の力にならなければ、と妙な気持ちになりつつある俺がいた。



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