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親ガモの相談
せっかく名字が俺に相談してくれたというのに、いくら考えても俺にいい解決方法が思いつくはずもなく。このままでは埒が明かないと、うちのバスケ部の中で比較的モテている藤真や長谷川に聞いてみることにした。
もちろん彼女の名前は伏せて、だ。
「・・・というワケらしいんだが」
「友達になるくらい別にいいんじゃねーの?」
いきさつを聞いてる途中からつまらなさそうな顔をしていた藤真は、案の定どうでもいいと言わんばかりににそう吐き捨てた。
「だいたいお前のその女友達とやらは、なんで花形に聞いたんだ?普通そういうのは男より女に相談するもんだろ」
「まあ、そうなんだがな・・・なんというか、うん」
(・・・お前の妹のことだぞ)
まさか相談する女友達どころか、友達がいるかも危うい名字の話なんだとは言えない俺は、ただ曖昧に返すしかなかった。
藤真に聞いたのは間違いだったかと思い、となりで黙って聞いていた長谷川に助けを求める。
「何かいいアドバイスはないか」
「・・・ひとつだけ」
「あるのかッ?」
小さく頷く長谷川に、俺は羨望の眼差しを向けた。彼は本当に頼りになる男だ。
「望みがあるから諦められないんだろ。つまり、恋人がいるって言えばいいんじゃないか?嘘でも本当でも」
「あー確かに」
興味なさげにしていた藤真も、それには納得したようだった。
「恋人がいれば諦めるしかないと、俺は思う」
「そうだな・・・!ありがとう長谷川」
「・・・役に立てたのか?」
あまり表情が変わらない彼に、十分だと微笑んだ。
「彼女に伝えてみるよ」
「大変だな、花形は」
「まあ・・・名字に頑張れって言っといてくれ」
藤真に聞こえないように小さな声でそう言われ、長谷川には相談してきたのが彼女だとバレてたのかと目を見開いた俺。
その様子を見てどうした?と聞いてきた藤真には、動揺したのを咳払いで隠しながら何でもないと返した。
(さっそく名字に教えてやろう)
実は告白現場を目撃していた長谷川さん。