俺と彼女はカルガモ親子 | ナノ
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一難去ってまた?




ちら。ちらちら。


(・・・)


すっかり三人で昼飯を食べるのが定番となり、俺たちはたまの学食を除いてそのほとんどを屋上で過ごしていた。
相変わらずバスケを中心に生活している俺たちの会話の内容は言わずもがな部活のことが多く、今も俺と藤真とで今度の練習試合について話しているところだった。

そんな中、今日はやけに名字の視線が俺に向けられているなと気になっていた。



「どうした名字」


藤真との話に一区切りがついて俺が彼女の方を向けば、一瞬視線を彷徨わせてから遠慮がちにこちらを見て、そしてまたすぐに逸らしてしまった。

ちなみに藤真は用があるんだとかで、すでに自分の教室に戻っている。



「ほら・・・言ってみろ」


隣に腰掛けて、名字の頭に手を伸ばす。ゆっくり撫でてやると、彼女の目がようやくしっかりと俺を見た。


「あの、花形さんに・・・相談したくて」
「相談?部活のことか?」
「・・・その、えっと」


口ごもる彼女を俺は何も言わずに待つ。

部活のことじゃないとしたら、また何かよからぬ事があったのか。それとも勉強についてだろうか。小テストがあるなら手伝ってやらないとな。
内心で勝手にそんな事を考えていると、名字が意を決したように口を開いた。



「わ、わたし・・・男の子に告白、されたんですっ」


それを聞いた俺は言葉の意味を理解出来ずにしばらくフリーズしてしまい、学年首席も形無しの瞬間だった。



俺が我に返ったと気づいた名字が言うには告白してきたのは名前も知らなかった男で、驚きはしたがもちろん断ったと。しかし諦めきれないので友達になってくれないか・・・そう頼まれたらしい。
それは人見知りの彼女からすれば想像もしなかった事態で、兎に角、ノーのつもりで首を振ったそうだ。


「でも、お願いだからって言われて・・・どうしていいか、分かんなくって」


つまり困惑したのと押しに負けたのとで、つい頷いてしまったと。
相手の男にはとりあえず保留にさせてもらったと言うが「は、花形さんっ・・・助けて!」と涙目で訴えられた俺は、さてどうしたもんかと考えながら、その時はただ彼女の頭を撫でてやるだけだった。



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