俺と彼女はカルガモ親子 | ナノ
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保護されます




健司くんや花形さんから逸れて、知らない人たちの中にいるのが怖くなった私はなるべく人の少ないところを探した。
見つけた静かな公園のベンチにひとりでポツンと座り、どうやって皆のところに戻ろうかなと考える。



「お前、翔陽のマネージャーだったか?」
「あ・・・」


公園の入り口に立つその大きな男の人には、以前も会ったことがある。
花形さんの知り合いで、陵南バスケ部のキャプテン・・・の人。


「魚住さんの知り合いですか?」
「ああ、前に会った事があるんだ。こんなとこでどうした?」


魚住さんとその後ろにいる同じ陵南バスケ部のジャージを着た人たちに囲まれて、私は途端に口をつぐんだ。見た感じ、彼らも祭りに来ていたみたいだ。


「へえ・・・翔陽にマネージャーいたんだ。名前、なんてーの?」
「おい仙道、この子怯えてるだろ」


花形さんより少し低いくらいの身長でツンツンした髪型の人がベンチに座る私を覗き込んで、それからニコリと笑った。
それを恐る恐る見ていた私は、突然その人・・・仙道さんに「かわいいね」と言われて、ビクッと肩を揺らす。


「う、え・・・」
「俺と友達になろうよ。あ、何年?」


一気に話すその人に驚いて私はただ口をパクパクするだけで何も言えなかった。

私の挙動不審を不思議そうにして見る仙道さんや他の人たちに向かって魚住さんが「あまりいじめてやるな」と言って私の前に立った。


「名字、お前も祭りに来てたんだろう」
「あの、そう、です・・・バスケ部で」
「てことは迷子か?」
「う・・・ハイ」


私が人見知りだと知っていたからか、他の人を片手で制して、どこか抑え気味の声で話しかけてくれる。
私が迷子だと分かると、他に数人いたバスケ部員の人たちに翔陽のバスケ部を探すように伝えていた。


「良かったね。みんな探してくれるみたいで」
「あ、ありがとう・・・ござい、ます」
「それで、名前は教えてくれないの?」


魚住さんのおかげで何とかなりそうなのに、なぜか構ってくる仙道さんのせいで余計に縮こまった私は、早く翔陽の人に会いたいと半泣き状態だった。


(ぐす・・・花形さん・・・)


思い浮かぶのは、祭りに来る前に逸れるなよと何度も私に念を押していた花形さんの顔だった。



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