俺と彼女はカルガモ親子 | ナノ
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勉強教えてください




県大会が終わり、インターハイ出場校は海南と湘北に決まった。
すでに新チームとして冬の選抜に意識を向けていた俺たちは、相変わらず毎日厳しい練習に明け暮れている。
ちなみに藤真はキャプテンを引退し、それは2年の伊藤に引き継がれた。

(・・・一応、監督という立場は残ってるけどな)



「よし、今日は数学だ」
「・・・お願いします」


図書室で教科書を広げる名字と俺は、数日後に控える期末試験に向けて勉強会をしていた。
そう、意外にも頭の弱い名字(言うと泣くから口にはしない)に、俺が面倒を見てやると約束していたのだ。


「違う、その問題にはこっちの公式を使うんだ」
「は・・・はい」

「ん。合ってるよ」


もともと真面目なこともあり、打てば響く彼女に教えるのは苦ではない。むしろ、問題が解けるたびに笑顔になるところを見ると、俺としても悪い気はしなかった。


「赤点が一つでもあると補習があるからな。夏休みの部活に出られなくなるのは困るぞ」
「う・・・厳しい」
「まあ進学校だからな」


向かいの席から俯く彼女の頭に手を伸ばすと、されるがままに撫でられる。人見知りで、でも慣れるとこうして懐いてくれる名字は、さながら猫のようだと思った。


「お前がいないと、部活がうまく回らない」
「・・・」
「頼むぞ」



俺がそう言うと、彼女は顔を赤くしながら小さく頷いた。微笑ましくて、俺はついもう一度その頭を撫でた。




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