俺と彼女はカルガモ親子 | ナノ
( 27/80 )

兄ガモ離れ?




昔から極度の人見知りで、いつも俺にくっついてた名前。
高校生になってから荒療治としてバスケ部に入れてみたが、これがなかなか上手くいった。
むしろ、上手くいきすぎた。
決勝リーグの試合会場に向かう途中、名前はずっと花形の話をしていた。

(ちょっと前まで・・・俺にべったりだった、のに)


「花形さんっ」
「よう」
「・・・」


観客席に着いて花形の姿を見つけた途端、名前がそっちに走っていった。予想できてたけど、なんだか大事にしてきた妹を取られたような気がして、俺としてはおもしろくない。

(てか、近すぎ・・・くっつきすぎ)



「・・・遅かったな、藤真」


花形の隣にいた長谷川に「ウォッス」と言って俺もゆっくりと近づいた。
コートを見下ろせば、ちょうど陵南が100点目を取ったところで、会場にはどよめきがあった。


「武里が弱いのか・・・陵南が強いのか・・・」


後半残り5分以上を残して仙道・魚住をさげる陵南の余裕とその強さに武里は、為す術もなかった。


(仙道・・・去年のあのルーキーが、ここまでの選手になったか)


「あ、あの人・・・魚住さん、ですよね」
「ああ。陵南のキャプテンなんだ」
「花形さんより大きい人は、初めて見ました」


名前と花形の方をチラチラと気にしながら、俺は勝負のついた試合を眺めていた。
無意識にでた俺のため息は、歓声の中に消えてなくなった。


(・・・なんか、落ち着かない)




PREVNEXT


人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -