俺と彼女はカルガモ親子 | ナノ
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笑う門には




マネージャー頑張ってくれ、先日俺がそう言ってからと言うもの名字はその通りによく働いてくれていた。


「伊藤さん・・・テーピング取れかかって、ます」
「お、本当だ。ありがと」
「怪我には気をつけて、くださいね」
「・・・!」


ふと微笑んだ名字に驚く後輩。そしてそれを遠目から見ていた俺と藤真。


「・・・なあ、花形」
「なんだ」
「名前が伊藤にデレてるんだけど・・・さっきは永野にも笑いかけてたし」


そう。最近の名字は、俺や藤真が驚くほどに部員と接しているのだ。そして、表情も小さいながら豊かになったような気がした。


「花形がそうしろって言ったんじゃねぇの?」
「頑張れとは言ったが、それは仕事をってことで・・・」


正直俺は名字がここまで部員と接触出来るとは思ってなかったし、そんなつもりで頑張れと言ったわけでは無かった。だから驚きはしたが、それ以上に嬉しいという思いが大きかった。


「やれば出来るじゃん名前のやつ」
「ああ・・・そうだな」
「さすが俺の妹」
「それまだ言うのか」


(・・・藤真の妹、ねえ)

忙しなく動く彼女を見て自然と緩んでいた顔を、なんとか引きしめる。


(俺にとっては妹よりも娘・・・みたいなものなんだろうか。感覚としては)



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