俺と彼女はカルガモ親子 | ナノ
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予想外です




俺が弁当の最後のおかずを口に放り込んだとき、隣から小さなため息が聞こえた。彼女にしては珍しいと思いなんとなく何かあったのかと尋ねてみる。


「・・・担任に呼び出された?」
「う・・・はい」
「なんでまた」
「小テストと、授業態度が、悪いって」


怒られました、そう言ってしゅんと落ち込んでいる名字。
この人見知りで大人しい女の子が騒いで授業を邪魔することはまずないだろう。だとすると、授業をまるで聞かずに惚けていたか寝ていたか。そのせいで成績が悲惨なことになっているといった感じか。


「すごい、花形さん・・・エスパーですねえ」


のん気に微笑んでる彼女に呆れた視線を送るが、不思議そうな彼女の顔を見る限り伝わってない様だった。


「・・・分かった」
「何を、ですか?」


馬鹿な子ほど可愛いとはいうが、それだけでは許されないことだってあるんだ。


「今日から毎日、勉強見てやる」
「えっ・・・」
「お前も翔陽バスケ部の一員なんだ。それに恥ずかしくない成績を取らないとだろ」
「う、」


相当自信が無いのか、不安だと言わんばかりの表情で俺を見上げていた。
「手は抜かないからな。はりきって勉強するんだぞ」と追い打ちをかけるように俺がそう言うと、名字はほとんど半泣きで小さく頷いていた。



「よくこんな成績でうちの学校に入れたな」
「だ、だって、健司くんが翔陽入らないと絶交、するって・・・!」
「・・・頑張ったんだな」


図書室でそれを聞いた俺は、思わず彼女の頭を撫でていた。


(この弱い頭で翔陽に入れたのは・・・奇跡だ)


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